約8400億ドル(約87兆円)の資産を保有するスペイン第2位の銀行、BBVAは、暗号資産(仮想通貨)の取引とカストディサービスを始める計画を進めている。事情に詳しい複数の関係者への取材でわかった。
BBVAは「ヨーロッパ全域にわたる暗号資産の取り組みをスイスからスタートさせる」と関係者の1人はCoinDeskの取材で答えた。スイスは、金融市場監督局(FINMA)がデジタル資産に対して比較的に緩やかな規則を設定している。
「まだコンプライアンスの点でいくつかのハードルがある。12月のスタートはないだろうが、1月の開始はあり得ると見ている」と同関係者。BBVAが開発しているのは、デジタル証券(セキュリティートークン=ST)の取引向けソリューションではなく、「暗号資産(仮想通貨)」を対象にしたサービスであると、関係者は話す。
CoinDeskはBBVAに正式なコメントを求めたが、得られていない。
NECが買収したAvaloq
BBVAは、サイロ(SILO)と呼ばれるデジタル資産向けカストディ・ソリューションを採用したと言われている。同ソリューションはロシアの大手銀行ガスプロムバンク(Gazprombank)も採用しており、ガスプロムバンクはすでに、スイスで暗号資産サービスを提供している。
関係者によると、BBVAはおよそ6月前、金融ソフトウエアプロバイダーのAvaloqとスイスの暗号資産会社のメタコ(METACO)が開発したサイロのシステム構築を始めたという。メタコはロンドンのスタンダードチャータード銀行と機関投資家向けカストディソリューションに取り組んでいることで知られている。
Avaloqとメタコに取材を試みたが、両社の広報担当はコメントを控えた。なお、AvaloqはNECが買収することで今年10月に発表している。
もう1人の関係者は、このプロジェクトが発表になるのは「クリスマス頃」になる可能性が高く、まだ解決すべき規制上の問題があると述べた。「プロジェクトは許可を受け、現実のものとなるには、複数のプロセスを経る必要がある」
時代は変わった
BBVAが暗号資産イノベーションに取り組むのは今回が初めてではない。同行は2018年7月、取引にパブリックブロックチェーンとプライベートブロックチェーンを組み合わせた最初の金融機関の1つだった。
今回のBBVAの取り組みは、暗号資産市場がいかに進化したかを示している。2018年、ヨーロッパの銀行はイーサリアムの保有が禁止されていたため、BBVAは慎重を期してテストネットを利用していた。
銀行の暗号資産への取り組みとしては、シンガポールのDBS銀行が今年10月に、デジタル資産分野への参入計画を認めている。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:スペイン、マドリードにあるBBVAの本店(Pablo Blazquez Dominguez/Getty Image)
原文:Spain’s Second-Largest Bank Will Soon Launch Crypto Services: Sources