ビットコイン、3万3000ドル超え──機関投資家の買い意欲支える
昨年12月から価格の上昇が続いている暗号資産(仮想通貨)のビットコインが、再び動き出した。1月2日午前(米東部時間)に3万ドルを超えると、その後に3万3000ドルに達し、史上最高値を更新した。
CoinDeskのデータによると、ビットコインは3万3136ドルをつけ、新たに過去最高値を記録。暗号資産のなかで最大の市場規模を持つビットコインは2020年、1年間で300%以上も値を上げた。
上昇トレンドを支えているのは、北米の機関投資家の強い投資意欲が一つの要因と伝えられている。米生命保険のマスミューチュアルに加えて、投資会社のスカイブリッジ・キャピタルなどがビットコインへの投資を拡大している。
中国・深セン市、デジタル人民元のお年玉、市民に3億円分
中国・深セン市がお年玉として2000万元分(約3億2000万円)のデジタル人民元を抽選で市民にプレゼントする取り組みを始めた。
抽選会は1月1日に始まり、深セン市の居住者は同市が準備した「i Shenzhen」プラットフォームで申し込むことができる。取り組みは、中国が開発を進めている中央銀行デジタル通貨(CBDC)の試験運用の一環。抽選で10万人に、一人当たり200元分のお年玉(中国では「紅包」と呼ばれるお祝い金)がデジタル人民元として配布される。お祝い金を手にした市民は、7日から17日の間、約1万カ所の店舗で利用できるという。
イーサリアム、一時1150ドル超、2018年1月以来の高値
暗号資産「イーサリアム(ETH)」の価格上昇が目立っている。CoinDesk 20のデータによると、イーサリアムは1月4日6時35分(協定世界時)頃、1151ドル(約11万9000円)まで上昇し、2018年1月以来の高値を記録した。12月最終週には40%以上も値を上げ、1週間の上げ幅としては、2018年12月以来、最大となった。
香港に拠点を置くブロックチェーン投資会社ケネティック・キャピタル(Kenetic Capital)のジェハン・チュー(Jehan Chu)CEOは、「イーサリアムは価値の保存手段としてのストーリーを確立していないが、比較的低い価格が、ビットコインの利益に酔ったウォール街の投資家たちにとって抗しがたいものになっている」とコメントしている。
イーサリアムの価格はその後も上昇、1月7日5時(協定世界時)の時点で1200ドルを超えている。
米CoinDesk、暗号資産インデックスのトレードブロックを買収
世界最大の暗号資産メディア「coindesk」を運営する米CoinDeskが1月5日、暗号資産インデックスを提供するトレードブロック(TradeBlock)を買収したと発表した。デジタル資産のニュースとデータ、イベントに価格インデックスを加えることで、同領域におけるメディアサービスを拡充させる。買収額などの詳細は明らかにされていない。トレードブロックの人員はそのまま残り、メディア事業からは独立して運営される。
トレードブロックのインデックスは、200億ドル(約2兆1000億円)以上の投資商品に利用されており、毎月数十億ドルの取引が行われている。トレードブロックの「XBXインデックス」の最大ユーザーは、暗号資産ファンドを運営する米グレイスケール・インベストメンツ。米CoinDeskの親会社であるデジタル・カレンシー・グループ(Digital Currency Group)はグレイスケールの親会社でもあり、DCGは以前、トレードブロックの株式を少数保有していた。
ビットワイズに続きグレイスケールもリップルを売却
グレイスケール・インベストメンツは1月5日、グレイスケール・デジタル・ラージキャップ・ファンド(Grayscale Digital Large Cap Fund)のリップルのポジションを清算すると発表。同ファンドは今後、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ライトコイン(LTC)で組成されることになる。
昨年末には同じく暗号資産の運用会社のビットワイズ(Bitwise)が、自社の暗号資産インデックスファンドから930万ドル(約9億6000万円)相当のリップルを清算したと発表している。
HashHubレンディング、暗号資産貸出サービスの先行利用者の募集を開始
HashHubは1月6日から、ユーザーが保有している暗号資産を貸出しながら貸借料を得られるサービスHashHubレンディングの先行利用者を募集している。同社によると、金利はBTC6%、ETH6%、DAI10%(2021年1月時点の募集年率)で、「国内最高水準の年率」をうたっている。
毎月自動で再貸し出しされるほか、解約手数料なし、好きな月に引き出し可能のため、長期間のロックアップや解約手数料が発生しない。
先行利用の申し込み対象は、100万円相当以上の暗号資産を申し込むユーザーのみ。正式なスタートは今年の初夏の予定。
ビットコイン投資は「理にかなっている」:元FRB理事
ビットコインへの投資は、ドル安などの現在の経済環境においては理にかなっていると、ケビン・ウォルシュ元連邦準備制度理事会(FRB)理事が1月6日、CNBCの番組で語った。ビットコインへの大規模な資金移動の一部は、ゴールド(金)から来ており、「40歳以下の人にとっては、ビットコインは新しいゴールドのように扱われていると思う」と語った。
「ポール・ボルカー氏(1979年〜1987年のFRB議長)以降で最も根本的に金融政策が変化しているこの経済環境においては、ビットコインはポートフォリオの一部として理にかなっていると思う。(中略)ビットコインが今のような動きをしていることに驚きはない」(ウォルシュ元理事)
暗号資産の時価総額、100兆円を超える
暗号資産(仮想通貨)の時価総額が1兆ドル(約103兆円)を超えた。CoinGeckoが6124の資産をもとに作成したインデックスで分かった。
TradingViewのデータによると、時価総額は2017年終わりに記録した約7600億ドル(約78兆円)を大幅に上回った。ビットコインは、暗号資産全体の約7割を占める(メッサーリのデータ)。
過去12ヵ月で、潤沢な資金持つ機関投資家の一部がビットコイン市場に参入。さらにはアルトコインにも関心を見せる中、ビットコイン(BTC)やその他の暗号資産はほぼ放物線のような価格上昇を記録した。
ビットコイン、400万円台に
年初に300万円台に突入したビットコイン(BTC)は1月7日深夜から8日未明にかけて、日本の暗号資産取引所でも400万円を超えた。わずか1週間で100万円上昇したことになる。また12月上旬の時点では200万円弱だったため、1ヵ月で2倍に増えた計算だ。
ビットコイン以外の暗号資産も軒並み価格を上げている。イーサリアム(ETH)やステラルーメン(XLM)のみならず、昨年末に米証券取引委員会(SEC)がリップル社とその経営幹部を提訴、価格を大幅に下げていたXRPも7日ごろから30%以上の大幅な上昇を見せた。
|文・編集:濱田 優
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