トークン化ビットコインの「焼却」、初めて発行量を上回る

WBTCをビットコインに戻す動きが、かつてない速いペースで起きている。DeFi(分散化金融)ブームの沈静化とビットコイン価格の上昇が原因のようだ。

WBTC(Wrapped Bitcoin):ビットコインを暗号資産カストディアンのビットゴー(BitGo)に預け入れることで発行されるビットコインに連動したERC-20トークン(イーサリアム規格に準拠したトークン)。ユーザーはマーチャント(販売元)を介してWBTCを受け取る。

昨年12月、ビットゴー(BitGo)では、記録的な量となる1万1613WBTCがビットコイン(BTC)に戻された。一方、WBTCの発行数は、わずか2731にとどまった。

WBTCをビットコインに戻す「焼却」が「発行」を上回ったのは、ビットゴーにとっては初めての事態だった。

WBTCがビットコインに戻された時点での価格に基づくと、「焼却」されたWBTCの価値は約2億3500万ドル(約245億円)にのぼる。

WBTCの主な用途であるDeFi(分散型金融)での利回りの低下と、ビットコイン価格の高騰で暗号資産取引所での取引が活発化したことが、WBTCの焼却数の増加と発行数の低下の原因と考えられる。

焼却の大部分は、取引会社のアラメダ・リサーチ(Alameda Research)とスリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)によるものだ。

WBTCの月間発行数/焼却数(橙:発行/紺:焼却)
出典:Wrapped Bitcoin, CoinDesk Research

2020年初め、WBTCの発行数は600WBTCを下回っていたが、DeFiブームのピーク時には12万4000WBTCを超えていた。特に8月中旬は、WBTCに対する需要はきわめて大きく、マイニング量を上回るビットコインがトークン化されていた。現時点では、約11万WBTCがDeFiエコシステムで流通している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Wrapped Bitcoin, CoinDesk Research
|原文:Wrapped Bitcoin ‘Burns’ Outpaced Minting for the First Time in December