NY司法長官、ビットフィネックスにテザーからの融資に関する文書提出を要求

ニューヨーク州の司法当局は2019年5月4日(現地時間)、仮想通貨取引所ビットフィネックス(Bitfinex)に対し、ステーブルコインを発行するテザー(Tether)からの9億ドル近くにのぼる融資限度枠の設定に関する文書の提出を求めている。

ニューヨーク州司法長官は当初、4月25日(現地時間)にビットフィネックスによる8億5000万円の損失について疑いがあるとして同社とテザー(Tether)に全ての関連文書の提出を求めた。その時点で、資金不足に陥っていたビットフィネックスの運営を支援するためにテザーから6億2500万ドルの融資が行われ、さらに9億円の融資限度枠が設定されていたことが明らかになっていた。

その際、ニューヨーク州司法長官は、ビットフィネックスがテザーから10億ドル近くもの資金を融資の一環として確保しようとしていたことを、テザーの顧客に明らかにしなかったとしてビットフィネックスを訴えた。一方、親会社のアイフィネックスは、この契約は2社の独立した代表者による「対等な関係」のもとで行われたと主張している。

ニューヨーク州司法長官は、当初の差し止め命令の中で、ビットフィネックス、あるいはテザーの業務継続を妨げたくないと述べた。だがテザーがビットフィネックスに資金を融資することは差し止めた。

5月4日の申し立てにおいて、ニューヨーク州司法当局は「命令は、差し止め命令以降、被告が業務を続けてきたように、被告が通常のやり方でビジネスを行うことを何ら制限するものではない」と記した。

司法当局はさらに、ビットフィネックスとテザーの弁護士は「限定的な」差し止め命令は州法に照らして合法であると「認めた」と述べた。そして命令の取り消しを求める彼らの動きは「単に新しい法律を作る」ことを裁判所に求めるようなものとした。

さらに申し立てではパナマに拠点を置く決済企業クリプト・キャピタル(Crypto Capital)についても触れられた。

クリプト・キャピタルは850億ドルの損失を抱え、ビットフィネックスはそれを補填するためにデザーの資金を流用したとの疑惑を持たれている。一方、ビットフィネックスは、資金はビットフィネックスに対する係争の一環として法執行機関に押収されたと主張している。

特にニューヨーク州司法長官は、融資の詳細についてより明確にするために、クリプト・キャピタルとの関係についてのビットフィネックスの証言における矛盾を突いている。申し立てでは以下のように述べた。

「我々はこうした事態を解決するために、当初の想定以上の自由と数カ月の期間を与えてきたが、今、より透明性が必要な事態となった。さまざまな食い違いは、本件の中心的な問題に何も影響を与えない ── ビットフィネックスとテザーはクライアントと投資家を誤った方向に導いている ── 彼らは、文書や情報をタイミング良く入手する必要があるというニューヨーク州司法長官事務所(OAG)のニーズを強めたに過ぎず、2社で何が起き、何が起きようとしているのかをOAGが理解するための状況を招いた」

CoinDeskが入手した融資限度枠の設定に関する文書の提出を求めるニューヨーク州司法当局の提出文書

翻訳:Masaru Yamazaki
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:NY Attorney General Letitia James image via Shutterstock
原文:NYAG: Bitfinex Should Be Made to Disclose Tether Deal Documents