日本のアニメやマンガ、ゲームなど海外でも人気のコンテンツに、ブロックチェーン技術を用いて新たな収益機会を提供するサービスが登場した。
Anique(アニーク)は2019年5月8日、アニメ『進撃の巨人』アートワーク26点のデジタル所有権の販売を開始する。同社代表取締役の中村太一氏がCoinDesk Japanの取材で明らかにした。
Aniqueのサービス「Anique」はブロックチェーン技術を用いて、コンテンツのアートワークをコレクションとして所有・販売できるというもの。講談社・『進撃の巨人』製作委員会の公認のもと、『進撃の巨人』のアートワークはデジタル所有権のみが1万円(税別)、デジタル所有権に特典の額装セル画を付けたものが6万円(税別)で抽選販売される。アートワークの著作権自体はクリエイターや製作委員会が保有するが、デジタル所有権を別に設定してユーザー間の売買により流通させる。
中村氏は、「Netflix、Amazonプライム・ビデオなど動画サービスを通じて、日本のアニメやマンガに親しむ世界のファンは増えている。海外のイベントに行ってみても参加者が増えており、日本のコンテンツに対する熱は高まっている」と述べた。しかし、「その海外ニーズに応えることができるプロダクトはまだまだ少ない。 ブロックチェーン技術を使えば、デジタルでも“世界に一つ”しか存在しないアートワークを創ることができる。海を越えて販売することで、コンテンツ製作者に新たな収益機会を提供できる」と続けた。
ファンがグッズなどをフリマアプリなどで売っても通常コンテンツ制作者に配分はないが、Aniqueではユーザーがデジタル所有権を売却する際、二次流通でも支払額の一部が製作者へと還元される仕組みだ。「販売するのはデジタル所有権なので、フィジカルなグッズよりも還元率を高めやすく、二次流通でも創り手に貢献できる」と中村氏。
デジタル所有権を購入したユーザーは、同社が提供するWebサイトでアートワークを閲覧、作品に関連するラフなどの制作物や特典コンテンツも見ることができる。デジタル所有権はイーサリアムのERC-721をカスタマイズした代替不可能なトークン(NFT:Non-Fungible Token)で管理する。
Aniqueはコンテンツ製作者への新たな収益源となることを武器に、今後も日本のコンテンツホルダーとの提携を増やす予定だ。
「従来は日本に来ないと買えなかった絵が、ブロックチェーン技術を使えばデジタルの絵の所有権として世界中のファンが購入、取引できるようになる。日本が誇るコンテンツを世界に向けて発信していくサービスにしていきたい」(Anique共同創業者・Peihong Wu氏)
文・写真:CoinDesk Japan編集部
編集:久保田大海、佐藤茂