イーサリアム、過去最高値を更新──一時1440ドル付近に

イーサリアム(ETH)は19日12時(協定世界時=日本時間19日21時)頃、1439.33ドルをつけ、過去最高値を更新した。CoinDeskの価格インデックスによると、2018年1月13日に記録したこれまでの最高値1432.88ドルをわずかに上回った。

イーサリアムが今月はじめ、最高値を更新する勢いを保っていたが、ビットコイン(BTC)が先週、4万ドルから3万ドル(約312万円)に下落したことによる短期的な反落の影響を受けた。

イーサリアムはビットコインに続いて最高値を更新するかたちとなったが、年初からの上昇率で比べると、ビットコインを上回る92%の上昇幅を記録した。ビットコインは年初から27%、値を上げた。

またメッサーリ(Messari)のデータによると、イーサリアムは2015年の取引開始から1000%をはるかに超える上昇となった。

イーサリアムの価値

イーサリアムブロックチェーンは、予測市場や取引プラットフォームといった分散型アプリケーション(Dapp)向けのブロックチェーンで、Dappは通常のアプリケーションと似たように機能するが、耐検閲性などのブロックチェーン技術の特徴を反映している。

イーサリアムはロシア系カナダ人の開発者、ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏の構想を基に、共同設立された。DeFi(分散型金融)は今のところ、イーサリアムブロックチェーンの代表的なユースケースと幅広く認識されている。

DeFi市場は、インターネット接続が可能な人なら誰にでも、非許可型で自動化された貸付、取引、借入を可能にする。DeFiの預かり資産(TVL:total value locked)は既に約220億ドルを超えている。TVLは運用資産残高(AUM)に似た指標だ。

DeFiアプリケーションは通常、独自トークンを保有しており、それらは一般的にイーサリアムブロックチェーン上で発行されている。DeFiは、昨年夏にブームとなり、その後下火となったが、再び活況を呈している。

イーサリアム2.0

イーサリアム支持者は長期的には、イーサリアムを未来のインターネットを支える耐検閲性を持った基盤となると考えている。このコンセプトは一般に「ウェブ3.0」と呼ばれ、現在のSNSを通貨システムと組み合わせることになる。

イーサリアムブロックチェーンは12月1日、新しいビーコンチェーン(Beacon Chain)の運用を開始し、目標に向けた大きな一歩を踏み出した。

ビーコンチェーンによって、マイニングではなく、ネットワークをサポートするために資金を預け入れる、いわゆる「ステーキング」の仕組みがスタートした。このアップデートは、現行のイーサリアムブロックチェーンを金融システム全体を扱う能力を備えたブロックチェーンにアップデートする一環だ。

|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Ethereum’s Ether Cryptocurrency Sets New All-Time Price High Near $1,440