ビットコインはマクロ資産として成熟し、為替相場にも影響を与えているようだ。
「米ドルは、非農業部門雇用者数の落ち込みの影響を受けた下落からの回復を目指したが、ビットコインが史上最高値を更新したことから再び横ばい状況となった」とロイターは先週はじめに報じた。
さらに記事は、テスラのビットコイン投資が牽引したビットコイン価格の上昇は、非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことを受けた今月5日のドルに対するユーロ上昇を後押ししたとしている。
ユーロの上昇とビットコインの上昇
2つの市場の値動きを詳細に見てみると、為替市場で最大の取引高を持つ通貨ペア「ユーロ/米ドル(EUR/USD)」の動きは、テスラのビットコイン投資のニュースが伝えられた後のビットコインの値動きを追ったように見える。
8日14時(協定世界時)のユーロ/米ドルの下降チャネルからの上昇(上記左図)は、5日の1.1990から1.2040への上昇が継続していることを示している。
注目すべきことに、ドルに対するユーロの上昇は、テスラのビットコイン投資のニュースがビットコインを4万2000ドル超の史上最高額に押し上げた約1時間後のことだった。テスラは15億ドル(約1580億円)のビットコイン投資を発表し、準備資産としてのビットコインの魅力を裏付けている。
外国為替市場への影響
ビットコイン価格の上昇にドルが打撃を受けたことで、FXトレーダーはドルを売り、ユーロを上昇させたようだ。注目すべきは、ユーロ圏における新型コロナウイルスのワクチン接種の遅れや、経済回復の遅れなどのマクロ要因が、ユーロを下落させていたことだ。
ビットコインもユーロもいまのところ、おおむね買われ続けている。ビットコインは12日、4万8925ドルで史上最高値を更新し、ユーロ/米ドルは現在、1.2100を超えている。
ビットコインを、FX市場の主要指標と呼ぶには早すぎるかもしれないが、アナリストは、ビットコインがそうした方向に向かっていることに自信を示している。
「我々はその方向に向かっているかもしれないと考えているが、そこに至るまで、ビットコインはさらに成熟する必要がある」と、LMAXデジタル(LMAX Digital)のジョエル・クルーガー(Joel Kruger)氏は話す。
暗号資産コミュニティーはビットコインを、米ドルをはじめとする法定通貨よりも優れた価値保存の手段、価値交換の手段と考えている。
それは、ビットコインの供給量は4年ごとに半減するためで、米連邦準備理事会(FRB)や他の主要国の中央銀行が行うインフレ的な通貨政策とは著しい対比を見せている。
|翻訳:山口晶子
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Starting to Lead FX Markets, Analysis of Tesla Reaction Shows: Report