大企業を中心に展開されるクラスドストレージサービスは、運営する企業のサーバーで管理されるため、サーバーのダウンやハッキングにより、データが失われる危険性や情報が盗まれるリスクに常に晒されている。
Filecoin(ファイルコイン)は、現在のクラウドストレージサービスの問題点を解決する分散型クラウドストレージサービスに使用される暗号資産だ。本記事では、Filecoinの特徴・チャートと価格推移・将来性について解説する。
Filecoin(ファイルコイン/FIL)とは?
Filecoinはクラウドストレージサービスに関連するストレージネットワークだ。ブロックチェーン技術を利用して、現状のサービスに不足しているセキュリティ面の向上を目指す。ユーザーがシステムを利用する際には暗号資産のFILが使用される。
Filecoin(ファイルコイン/FIL)の特徴
Filecoinの特徴は3つある。
- 分散型ストレージ
- 新プロトコルのIPFSを採用
- ストレージの空き容量を貸し出してマイニング
分散型ストレージ
Filecoinが従来のクラウドストレージサービスとは異なる点は、分散型ストレージというシステムにある。分散型ストレージは、データの保存を一か所ではなく、暗号化して分散して保存する仕組みだ。
データの保存を企業のサーバーなどの1カ所に保存する中央集権型のサービスは、ハッキングによる情報漏洩のリスクが高く、複数の端末からアクセスがあるとサーバーが重くなりダウンにつながる可能性もあるなど、いくつかのデメリットを抱えていた。
分散型ストレージにすることで、データを複数の場所に保存してハッキングのリスクを減らし、セキュリティ性を向上させている。
中央集権型のサービスよりも高いセキュリティ対策が期待される。
新プロトコルのIPFSを採用
Filecoinのデータ保存に使用されるプロトコルがIPFS(InterPlanetary File System)である。IPFSは日本語に訳すと惑星間ファイルシステムであり、世界中のサーバーやデバイスの空きストレージを活用し、ファイルを分散して保存する仕組みだ。このプロトコルはP2Pネットワーク上で動作する。P2Pネットワークはブロックチェーンの基幹となる仕組みだ。
現在のWeb2.0のインターネットの主要なプロトコルはHTTPであるが、IPFSは新世代のインターネットであるWeb3.0の技術であり、FilecoinはWeb3.0の関連銘柄としても知られている。
ストレージの空き容量を貸し出してマイニング
Filecoinのマイニングは、自身が持つストレージの空き容量を貸し出すことで報酬が得られる仕組みだ。Filecoinにおけるデータ保存の仕組みは、ストレージを貸し出すマイナーの存在が前提となっているため、システムを成立させるにはマイナーを確保し続ける必要がある。
マイナーは常にストレージを貸出状態にしなければならないが、2022年、Filecoinは「年初からストレージ提供者が7倍増加した」と発表している。順調にマイナーを確保していることが伺える。
Filecoin(ファイルコイン/FIL)のチャートと価格推移
上記のチャートがFilecoinの2024年4月までの価格チャートだ。
2017年にICOで資金調達を行い、2019年にローンチ予定だったが延期され、2020年10月にサービスが開始された経緯がある。2020年10月に価格は約6,230円まで上昇し、そしてFilecoinの躍進の年となったのは2021年だ。
メインローンチの価格上昇が落ち着き2,000円台で推移していた年初から3月に一変し、3月31日に約21,108円を記録、10倍以上の高騰を見せた。アメリカの大手仮想通貨ファンドグレイスケール・インベストメンツがFilecoinの投資信託の運用を開始したことで投資家の間で大きな話題となったことが価格の上昇につながり、Filecoinの知名度も大きく上昇した。
2022年、Filecoinは仮想通貨市場と連動して価格は下落を続けた。マイナーの確保は順調に進んでいることから、Filecoin自体にマイナス材料があるわけではない。10月時点で1,000円を切っていることから、昨年の価格と比較すると大きく減少しているため、将来性があると判断するなら割安と考えることもできた。
その後、2023年は地を這うような相場だったが、2024年に入ってとりあえず1,000円台を回復。過去最高値は20,000円を超えていたことを考えると、価格はピークの10分の1以下だが、まずは5,000円、10,000円の水準をいつ回復できるかに関心が集まっている。
Filecoin(ファイルコイン/FIL)の時価総額
Filecoin(ファイルコイン/FIL)の時価総額は2024年4月時点で、約44億2,000万ドルとなっている。ランキングでは26位だ。
時価総額が近い暗号資産としては、24位のAptos(APT)が約52億2,000万ドル、25位のEthereum Classic(ETC)が約47億3,000万ドル、27位のStacks(STC)が約44億ドル、28位のCosmos(ATOM)が約42億5,000万ドルとなっている。
Filecoin(ファイルコイン/FIL)の将来性
Filecoinの将来性に関するポイントを3つ紹介する。
- ナスダックにビットコインを超える暗号資産として選出される
- Web3.0の関連銘柄である
- 競合する暗号資産の動向
ナスダックにビットコインを超える暗号資産として選出される
Filecoinは、2020年に発表されたナスダックのレポートで『今後ビットコインを超える可能性を持った暗号資産3選』にSingularityNet(AGI)、Vidt Datalink (VIDT)とともに選出された。ナスダックは全米証券業協会が運営する米国株式市場の1つであり、権威ある組織から評価されるということはプラス材料いえるだろう。
仮想通貨のなかでも最も知名度が高く時価総額も高いビットコインであるが、機能面に目を向けると強みは少ない。Filecoinをはじめとする実用性の高い機能を持った通貨がシェアを拡大し、ビットコインを超える時価総額を持った通貨が現れることは十分に考えられる。
Web3.0の関連銘柄である
Filecoinは、新たなプロトコルであるIPFSを採用していることから、次世代のインターネットといわれるWeb3.0の関連銘柄の1つとして挙げられる。世界各国で推進される動きもあるWeb3.0は次世代のインターネットとして世界を大きく変えることが期待されている。
Web3.0ではブロックチェーン技術が必要不可欠であるが、Filecoinが関連銘柄として挙げられていることから、Web3.0に関するプラス材料や、実現が近づくにつれてFilecoinの注目度も高まり、価格の上昇につながる可能性があるだろう。
競合する暗号資産の動向
Filecoinと同様、分散型ストレージに関連する暗号資産は他にもある。具体的には、Storj(STORJ)やSiacoin(SC)が競合する暗号資産として挙げられる。マイナーの確保が重要な分散型ストレージでは、競合と差別化し、シェアを拡大できなければマイナーが確保できずに機能不全に陥る可能性もある。分散型ストレージの知名度が向上する中で、Filecoinがトップになれるかどうかも将来性に関わってくるだろう。
Filecoin(ファイルコイン/FIL)の購入方法
日本国内の暗号資産取引所でFilecoin(ファイルコイン)を取り扱っているのは、以下の2つの取引所となっている。
- GMOコイン
- OKCoin Japan