仮想通貨(暗号資産)の代表格といえば「ビットコイン」(BTC)が挙げられる。時価総額は2位のイーサリアム(ETH)を引き離して堂々の1位で、今後も少なくとも当面の間は暗号資産マーケットを牽引し続ける仮想通貨であることは確実視されている。
ビットコインへの注目度は一際高いこともあり、多くの投資家は仮想通貨マーケットを俯瞰する際、まずビットコインの価格の値動きを見る。そして、ほかの仮想通貨の値動きと照らし合わせ、ビットコインより良い値動きをしているか悪い値動きをしているかを確認する。
そしてビットコインより価格推移が良ければ「好調」、価格推移が悪ければ「不調」といった判断を下すケースが多い。つまりビットコインは仮想通貨業界における価格推移の「基軸」とも言える役割を果たしているわけだ。
この記事ではそんなビットコインの過去の値動きから最近の値動きまでを時期ごとに解説していく。ビットコインの仕組みや最新ニュース、価格が上昇する要因や下落する要因なども紹介し、ビットコインについての基礎的な知識を網羅的に得られるよう記事を展開していこうと思う。
ビットコインの価格推移の全体像
円ベースでビットコインの価格推移を見ていくと、2024年1月時点では1BTC=660万円前後で推移している。過去最高値の700万円台まで回復するのも現実味を帯びてきた。
ビットコインの始まり
ビットコインは世界初のブロックチェーン基盤の仮想通貨だ。
ビットコインはあらゆる仮想通貨の中で最も流通量が多く、仮想通貨といえばこれというイメージを持たれる方も多いことだろう。ビットコインは「Satoshi Nakamoto(サトシ・ナカモト)」という人の論文を基に、2009年1月にローンチされたのが始まりだ。当時はまだ管理者が不在の金融システムという概念自体が受け入れられにくかった。
だが、2010年にはビットコインを取引できる取引所が開設され、新しい技術に興味を惹かれる人たちの間で取引されることになった。ビットコインは「New Liberty Standard」というサイトに1BTC=約0.09円という価格で登場した。
その後、初めてピザ2枚を購入するために使われたのが決済手段として使われた最初の事例だとされている。
ビットコインを支えるマイニングという仕組み
ビットコインの歴史はその始まりからマイニングという仕組みに支えられてきた。マイニングとはビットコインにおける決済の承認作業のことだ。この承認作業はマイナーと呼ばれる有志の手で行われており、高い性能を持つコンピューターの演算能力を必要とし、協力に対する報酬として新たにビットコインを発行する。
マイニングはこれまで不正防止や、決済スピードの向上に貢献してきた。しかし、マイニングに必要なコンピューターの電力消費が世界中で年間約106テラワットに達したことから、環境配慮への視点において問題視されている。
マイニングにも問題点はあるが、ビットコインの承認作業をマイニングから変更する予定は現在の時点ではなく、これからもビットコインの仕組みを支え続けることが予想される。しかし、環境配慮への懸念は今後の価格変動に影響を及ぼす可能性もある。
ビットコインマイニングの歴史
ビットコインマイニングの歴史は、マイニング機器の変遷の歴史である。最初のマイニングはCPUで行われてきたが、すぐにGPUに移行した。2011年には、GPUの2倍の処理能力を持つFPGAに移行する。2013年、中国で開発されたビットコインマイニングのための特定用途向け集積回路のASICをリリースした。ASICのチップサイズはその後も縮小が続けられ、現在においてもビットコインマイニングの主流はASICとなっている。
ビットコイン黎明期(2011年〜2012年)
2010年代には「Mt.Gox(マウントゴックス)」という取引所がサービスを開始し、ビットコインには1BTC=約6円という値段がつけられた。
2011年に入ると、ビットコインは企業やメディアから注目されるようになり、徐々に知名度と価格を上昇させてくる。ビットコイン取引所の「Mt.Gox」が日本を本社とするTibanne社に買収されたことをきっかけに、1BTCが約65円の値段をつける。
2011年4月にはTIME誌に取り上げられたことを機に約280円と注目とともにどんどん価格上げてきていた。TIME誌への掲載をきっかけに価格はどんどん上がっていき、一時は約1300円ほどの価格になるに至った。最初が約0.09円だったことを考えれば、15000倍近い値上がりをしたことになる。
ビットコインは非常に利益率の高い投資対象として注目され始めることになる。しかし、Mt.Goxがハッキング事件を受けたことにより価格は急落していく。
ビットコインのセキュリティに関する不安は大きくなり、価格は一時200円代まで落ち込むことになった。しかし、幸いなことに低迷は長くは続かなかった。
マイニングの報酬の半減期やWordPressがビットコインでの決済を可能にするプラグインを追加したことで徐々に価格を回復していき、2012年末には1000円代にまで回復する。
ビットコイン2度目のバブル到来(2013年)
2013年はビットコインにとって大きな1年となった。2度目のバブルが到来し、一時12万円台の値をつけることもあるほどだった。
3月に起こったギリシャ危機によりキプロス銀行が多くの不良債権を抱え、経営が立ち行かなくなったということがあった。このことからユーロなどの法定通貨に対する不信感が増し、逆にビットコインなどの仮想通貨に対する人気が高まることになった。
バグによってブロックチェーンの分岐時間が過去最長になるなど、ヒヤッとする場面はあったものの、中国の「百度(バイドゥ)」がビットコインでの決済を追加するなどプラス要因も多くあった。結果的に2013年の終わりには最高値となる約12万円の値をつけるに至った。また、国内でもNHKでビットコインの特集が組まれるなど徐々に認知度を広めてくるのもこの頃だ。
しかし、2013年末、中国政府が仮想通貨の金融機関での取引を一切禁止することを発表し、勢いを増してきていたビットコインのバブルも崩壊することになる。
価格下落からの停滞が続くビットコイン(2014年~2015年)
2013年末の中国での金融機関の仮想通貨取り扱い停止の発表を受け、ビットコインの価格も下落の一途を辿っていた。さらに、それに追い打ちをかけるように仮想通貨取引所のMt.Goxが二度目のハッキングを受け、約75万ビットコインがこのハッキングによって盗まれた。これは当時のレートで約470億円にものぼり、Mt.Goxは閉鎖を余儀なくされる。
ビットコインの価格は2014年の4月には4万円代にまで落ち込む。Mt.Goxの閉鎖で仮想通貨は下火となるかと思われたが、なんとこの年には多くの取引所が新設されることになった。
4月には国内取引所のBtcBoxが、5月には後にさまざまな仮想通貨サービスを提供することになるbitFlyerがサービスを開始する。その他の取引所も続々と新設され始めた。
また、決済方法としても幅を広げていき、DELL社とMicrosoft社がビットコインでの決済の受付を始める。信用の高い大手企業のビットコイン決済対応により一時急落した時点よりは回復した価格を維持していく。
2015年代は月で見れば2~5万円前後の価格をウロウロする期間が続く。大きく下落することも上昇することもなく、ビットコインの価格は停滞期を迎えることになる。
下落からの回復と1ビットコインが200万円を超える状態に(2016年〜2017年)
2017年のビットコインの価格は1ビットコインが200万円を超えるような大バブルに突入する。
2016年には2回目の半減期を迎え、ビットコインマイニングの報酬は25BTCから12.5BTCに半減された。これを受けてビットコインの価格は上昇を始める。2016年初めには約4万5000円だったビットコインの価格は約7万円にまで上昇することになる。
その後は香港の取引所「Bitfinex(ビットフィネックス)」がハッキング被害を受けるなどのセキュリティへの脆弱性は残しているが、価格は徐々に上昇傾向になっていく。2016年12月には約12万円とかつての最高値付近まで回復する。
この頃になると日本国内での仮想通貨やブロックチェーンに関する実証実験を行う金融機関も現れ始める。注目されるに従って法律の整備も必要となり、2017年4月には「改正資金決済法等」が施行される。
「改正資金決済法」は価格の変動が激しい仮想通貨に対して投資家を守ったり、資金洗浄の場として使われることを防いだりするために成立した。この法律によって仮想通貨の取引所は登録や届出をしなければならないことが義務付けられた。
その後もビットコインの価格は2017年末にかけて上昇し続け、2017年12月には一時約230万円という最高価格を記録した。大暴騰したのはビットコインだけではなく、他のアルトコインも同様でこの時「億り人」と呼ばれるような1億円以上の利益を出す人が現れたことで国内でもビットコインを含む仮想通貨は一気に知名度を上げた。
DMMグループが運営するDMM Bitcoinもこの時にサービスを開始した。
ビットコインのバブルが崩壊する(2018年)
しかし、バブルはそう長くは続かなかった。2018年1月には約100万円まで価格は落ち込み、大手取引所のCoincheckがハッキング被害に遭った。
また、FaceBookやGoogle、Twitterなどが立て続けに暗号資産への広告掲載を禁止することを決定し、世界でも主要なSNSや検索エンジンへの広告の掲載を禁止されてしまったことにより、2017年の終わりには150万円だった価格は2018年末には約70万円にまで下がってしまう。昨年末に最高価格をつけたときに比べて半値以下に落ち込んでしまったことになる。
これ以降ビットコインの相場での価格は不安定な状態を続ける。
不安定になる相場(2019年)
2019年のビットコインの相場は、年初は約40万円から始まるものの高騰していき約80万円から約100万円のあたりを推移することになる。
初めは上昇トレンドとなり価格は上がっていくように思われたが、仮想通貨取引所Binanceがハッキングを受けたり、中国政府が仮想通貨に対する規制を新たに始めたりといった要因も手伝い価格は乱高下を繰り返すことになった。
再び上昇相場に(2020年)
2020年3月には新型コロナウイルスによる経済不安が拡大を始めた。この不安は大きく、株式や仮想通貨などの金融資産は大暴落することとなった。
1月〜2月には90万円から100万円という価格になるという上昇トレンドに乗っていたが、2020年3月の新型コロナウイルスの拡大によって3月のビットコイン価格は約70万円ほどになっている。上昇傾向から一転して下落傾向に向かうが、それも束の間。
ビットコインは3度目の半減期を迎えてマイニング報酬は12.5BTCから6.25BTCへと下がったおかげで、価格はまた上昇を始める。5月には100万円代を突破し、10月には約150万円、11月には約200万円。2020年12月には約290万円にまで高騰した。
価格下落から700万円を超えて最高値を記録(2021年)
2020年5月までビットコインの価格は上昇傾向にあったが、2021年5月に下落しており、原因は中国におけるビットコインのマイニング規制が影響していると考えられる。その後、7月まで下落を続けるが、8月頃から上昇に転じた。
2021年11月にビットコインの価格は最高値となる約770万円を記録した。これは世界的にインフレが懸念されるなかで、ビットコインがインフレ対策の資産としての見方が強まったことが理由に挙げられる。しかし、その後は下落に転じており2021年は下落基調のまま翌年を迎えた
2021年の最高値から半値以下に下落した(2022年)
2021年の下落傾向が続き、ビットコイン価格は約400万円まで下落する。2022年1月にロシア中銀による仮想通貨使用、マイニングの全面禁止が提案された件も不安材料となった。3月に約570万円まで戻したものの、2022年5月のUSTの暴落により、ビットコインを中心とした仮想通貨市場全体が下落した。
11月には、大手仮想通貨取引所のFTXが経営破綻したことで、仮想通貨に関する悪いニュースが続いた。2022年の相場は結果的に右肩下がりの相場となり、2021年の最高値である770万円の3分の1以下である200万円台で終わりを迎えた。
2022年の下落を取り戻す1年に?(2023年)
2023年の1〜11月の値動きを分析した場合、ビットコインの価格は回復基調に入ったと言ってもいいだろう。
まず2023年1月は週足でみると4週連続でプラスとなり、「2022年の下落を取り戻すのではないか」といった観測がマーケットで広がった。2月は足踏み状況が続くが、3月に入ってビットコインは急上昇する。3月13日を起点という1週間でビットコインは27%高となり、380万円台を突破。その後、4〜5月は横ばいの状況が続くが、6月中旬から下旬にかけてまた急上昇を見せ、一時は450万円台を回復した。
ただ8月中旬に大きな下落に見舞われ、この時点では2023年の最高値をうかがう展開とはなっていなかったが、2023年の1〜8月までの8カ月間ではしっかりと右肩上がりの傾向が見て取れるため、さらなる価格の回復が期待できる状況だと、市場では期待の声が高まった。
その後、10〜11月後半にかけてビットコインの価格は大きく上昇する。10月の月間騰落率はプラス28.54%、11月の月間騰落率はプラス8.82%を記録した。
2023年の値動きの背景にあるものは?
ビットコインの価格の値動きを分析する際には、テクノロジー企業が多く上場している米ナスダック市場の動きに目を向けるのが一つの方法論として挙げられる。その理由は、ビットコインもナスダック上場株も投資の世界においては「リスク資産」ととらえられ、同じような値動きをすることが多いからだ。
ナスダック市場は2023年に入り、大きく回復している。その背景にあるのは、米連邦準備理事会(FRB)が利上げ幅を縮小し、さらには2023年内に利下げもあり得るという展望が広がったことがある。一般論として利下げは「金融緩和」を意味しており、利下げムードが高まるとリスク資産に資金が流入しやすく、それによってナスダック上場株の回復につながっていった。
前述の通り、ビットコインもリスク資産と言え、FRBの利下げ期待の高まりとともにビットコインに投資資金が戻ってきて、年初からの価格の上昇を見せた格好となった。
6月には、資産運用会社としてアメリカの最大手企業であるブラックロックが現物のビットコインに投資するETF(上場投資信託)の承認を申請したことが好感され、価格の急上昇につながった。このETFが承認され、ビットコインへの注目度が上がって買い手がさらに増えていけば、将来的にビットコインの価格はさらに上がると期待されたからだ。
一方、8月に入るとビットコインの価格は大きく下落した。その理由の一つが、アメリカの長期金利の上昇が止まらない状況になっているからだ。通常、アメリカの長期金利はFRBの利上げ観測と連動し、利下げに対する期待が下がったり、インフレ予想が上振れたりすると上昇する。そして、長期金利が上昇するとリスクが高めの資産からは投資資金は流出していくため、ビットコインの価格の下落につながったわけだ。
そしてその後、10〜11月にビットコインの価格が急上昇するわけだが、その背景にあったのが、ビットコインの現物に連動するETFが近く承認されるとの観測が広がったことだ。実際に現物連動型のビットコインETFが承認された場合、さらなる価格の高騰が起きる可能性は十分にある。
ビットコイン現物ETFが承認される(2024年)
2024年に入って早々にビットコインに関するビッグニュースが投資家界隈で大きな話題になった。米証券取引委員会(SEC)がビットコインの現物価格に連動する上場投資信託(ETF)を初めて承認したというニュースだ。
承認は1月10日付。ビットコインの先物価格に連動するETFはこれまでに承認されていたが、現物価格に連動するETFは申請自体はされていたものの、承認はされていなかった経緯がある。
ビットコインに関するETFが承認されるということは、暗号資産の取引口座を持っていない株式投資家でも、暗号資産に間接的に投資ができるようになるということだ。ETFを購入することによりビットコインへの資金流入が増えることはすなわち、ビットコインの価格の上昇圧力が強くなることを意味するため、仮想通貨投資のリターンに対する期待度が一層高まる状況となっている。
ちなみにSECがビットコイン現物ETFを承認する直前に、SECのX(旧Twitter)のアカウントが乗っ取られ、SECがビットコイン現物ETFを正式承認した旨が投稿された。SECはこの投稿について、悪意ある第三者によるものだと表明し、この前後でビットコインの価格は乱高下している。
今後のビットコインの価格の値動きはどうなる?
今後のビットコインの価格を占う上でポイントとなるのが、アメリカのFRBによる利下げがいつになるのかや、2024年4月ごろに迎えるとみられるビットコインの「半減期」を契機に、過去の経験則を根拠に多くの投資家がビットコインに資金を投じるか、といった点だ。
まずFRBの利下げがいつ行われるかだが、そもそもFRBの今回の利上げはインフレを抑制するためのものであり、景気の冷え込みなどによって十分にインフレが落ち着いたと確認されなければ、利下げは遠のく。そのため、アメリカのCPI(消費者物価指数)や失業率などの数値が今後どう推移していくのか、非常に注目しておきたいところだ。
またビットコインの半減期にも注目したい。過去、ビットコインは半減期のサイクルのたびに価格を大きく上昇させており、次の半減期によって価格が3倍程度上昇するという見方もある。こうした2024年の上昇を見越して、2023年を「ビットコインの絶好の買い場」ととらえ、今後、手元の投資資金をビットコインに投じる投資家が増えてくるかもしれない。
投資資金をビットコインに投じる投資家が増えるということは、ビットコインの「買い」に勢いがつき、価格の上昇余地は大きくなっていく。
ビットコインの価格が上昇する理由
ビットコインの変遷から、その価格の上昇の理由をまとめていく。
ビットコインや仮想通貨全体の信用および知名度が上がる
一つは、ビットコインや仮想通貨全体の信用および知名度が上がることだ。
キプロス危機で法定通貨の信用が下がり、相対的に仮想通貨に価値の交換手段としての注目が集まったとき、ビットコインの価格は上昇した。信用できる通貨だとなれば価値が上がったり安定するのは法定通貨でも同じことなのでイメージもしやすいだろう。また、TIME誌で取り上げられた時にも価格は上昇した。
仮想通貨はそもそも最初の頃はあまり知られておらず、そもそも知っている人が少なかった。したがって、知名度が上がるだけで新たにビットコインを知って興味を持つ人は出てくる。
ビットコインの半減期
二つには、ビットコインの半減期が関係している。
ビットコインは定期的にマイニング報酬が半減する半減期を迎えているが、半減期を迎えた時に価格が上昇していることが見てとれる。マイニング報酬が半減すると、マイニングをするマイナーが減少し、その分市場に出るビットコインの数が少なくなることが原因ではないかといわれている。市場に出る数が減れば、需要と供給の関係で価格が上がる。必ずそうだという根拠にはなっていないが、過去3回の半減期のときには価格は実際に上昇している。
ビットコインの価格が下落する理由
一方で、ビットコインの価格が下落する理由をまとめた。
仮想通貨の信用低下
一つ目は、上昇する理由と対になっている、ビットコインや仮想通貨全体に対する信用の低下だ。
仮想通貨取引所がハッキングに遭うと当然ビットコインや仮想通貨に対する信用は低下する。信用が低下すると手放す人が増えてビットコインの価格は下落するのだ。仮想通貨は取引所に預けるという形で保有することも多いため、その預け先である取引所がハッキングされて通貨や情報が流出するというようなセキュリティ面での脆弱性が見つかると保有者は不安になってしまう。
各国の規制の強化
もう一つは各国の規制の強化による影響だ。中国が金融機関に仮想通貨の取引を禁止すると発表したとき、価格は下落した。ビットコインは決済手段として使われることを想定しているので、使えない国や場所が出てくるようなニュースがあるとやはり価値は下落するだろう。
一方で、仮想通貨が法定通貨に近い価値を持つほどに発展していくためには正しい法整備は避けられないものだ。そうである以上一定の規制は必ず必要になってくるのであるが、それが中国のように金融機関での取引全面禁止のようなものであるとどうしてもマイナスの要因になってしまう。
やりすぎではない適切な法整備が望まれる。
ビットコインの今後
ビットコインの今後を判断するポイントを下記にまとめた。
決済通貨としての普及
ビットコインは価格が大きく上下する性質から投資対象としての知名度が高まったが、決済通貨としての普及は、誕生から10年経った今でも法定通貨に匹敵する利用率には到達していない。1BTCの価格が数百万円を超える状況から、決済通貨としての利便性に難があることが理由として挙げられる。
ただし、大手決済サービスのPayPalでは、ビットコインを含めた複数の仮想通貨決済に対応するなど、仮想通貨を決済手段として普及させる動きはある。仮想通貨が決済通貨として普及する未来はあっても、ほかに決済に特化したアルトコインも多いことから、ビットコインが決済通貨として普及するかどうかは分からない。
デジタルゴールドとしての役割
投資対象としてビットコインが現在においても注目されているのは、金(ゴールド)の代替になるデジタルゴールドとしての可能性だ。世界の金融情勢や経済状況の影響を受けにくいと知られてきたことからインフレへのヘッジ先として優秀であり、発行総量が2,100万と決まっていることから金と同様に埋蔵量が限られているため、デジタルゴールドと呼ばれるようになった。
金と同等の性質を持つ投資対象と判断するなら、ビットコインは長期投資に向いた資産と考えられ、今後はそのように扱われる可能性が高い。
ブロックチェーン技術の普及
ビットコインを支えるブロックチェーン技術は、現在の時点では、広く一般的にネットワークにおいて利用されていない。次世代のインターネットと呼ばれるWeb3.0の根幹となるブロックチェーンネットワークの普及によって、ビットコインを含めた仮想通貨の需要も増加する可能性がある。
h2>ビットコインに関するよくある質問
最後に、ビットコインに関するよくある質問をまとめた。
ビットコインが最初に買い物に使用されたのはいつ?
2010年5月22日、ラズロ・ハニエツ氏が2枚のピザを購入するために1万BTCを使用した。5月22日は、ビットコインが初めて使われた歴史ある日として、ビットコインピザの日と呼ばれるようになった。
ビットコインが取引できた最初の取引所はどこ?
2010年3月に設立されたbitcoinmarket.comがビットコインを取引できた最初の取引所である。同年7月には最初期に最大の取引量を誇った取引所のMt.Goxが設立された。どちらの取引所も現在は取引が停止されている。
誕生から今まで一度も使用されていないビットコインが存在する?
正体不明のビットコインの開発者であるサトシ・ナカモトは、112万5,150BTCを所有しているといわれている。これらのビットコインは、現在まで一度も資金が動いた形跡がない。サトシ・ナカモトのビットコインは失われたビットコインと呼ばれ、発行枚数の数字以上にビットコインの希少性を高めている。
ビットコインに関する最新ニュース
ビットコインに関する最新ニュースは以下の通りだ。
イーロン・マスク氏の動向が値動きに影響
イーロン・マスク氏と言えばテスラの最高経営責任者(CEO)であり、世界有数の富豪でもある。そのマスク氏が率いる宇宙関連企業Space Xがビットコインを売却したというニュースが8月に報じられ、ビットコインの下落を招いたとする見方がある。
マスク氏に関しては、Twitterを買収し、現在は名称を「X」に変えて運営をしていることで知られているが、マスク氏自身、過去にさまざまなつぶやきをTwitterで行っており、仮想通貨の相場の乱高下を招いたことも度々あった。
そういう意味で、マスク氏の動向をウオッチしておくことはビットコインの相場を予測する上で重要であり、Xで同氏のアカウントをフォローするのも良いだろう。
ビットコイン現物ETFが欧州・米国市場で上場
アメリカで資産運用最大手のブラックロックがビットコイン現物ETFの承認申請を行ったことが大きな話題になったが、欧州市場でビットコイン現物ETFが上場することが2023年8月に報じられ、アメリカよりも先にヨーロッパでビットコイン現物ETFの取引が可能になった。
上場したのはオランダにあるユーロネクスト・アムステルダム証券取引所においてで、上場したETFの名称は「ジャコビFTウィルシャー・ビットコインETF」だ。ティッカーシンボルは「BCOIN」となっている。
ヨーロッパで初のビットコインの現物ETFが上場したことで、アメリカ市場においても上場申請が認可されるのか、ますます注目が高まった。そしてその後、2024年1月にビットコインの現物連動型ETFが米証券取引委員会(SEC)に承認されるに至っている。
まとめ
この記事では、
- ビットコインはバブルや下落を繰り返しながら激しい価格変動を登場以来続けている
- ビットコインの価格が上昇する理由はポジティブなニュースや半減期などである
- 価格が下落する理由は各国の規制強化やセキュリティ上の問題が発生したときである
ということを解説した。
まだ暗号資産界隈自体が法律や制度の整備がまだ万全ではない。したがってこれからも法律などによる位置付け次第では大きく価格が変動していくことが予想される。
常にビットコインに関わるニュースには目を向けておき、相場の変動に取り残されないようにするべきだろう。
なおCoinDesk Japanでは、金融庁に認可された国内仮想通貨取引所の口座を開設することをおすすめしている。