ガバナンストークンとは? メリット・デメリットと活用事例を紹介

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仮想通貨にはさまざまな種類があるが、近年ではDAOと呼ばれる組織の運営に使用され、資産性を有するガバナンストークンが注目を集めている。ガバナンストークンは、従来の組織における株式に近い存在であり、保有することでDAOの運営に関わることが可能だ。

本記事では、ガバナンストークンのメリット・デメリットについて解説した上で、具体的なガバナンストークンの銘柄と活用事例を紹介する。

ガバナンストークンとは

ガバナンストークンはDAO(分散型自立組織)の運営における意思決定において、保有者に投票の権利を与えるトークンのことである。ガバナンストークンを理解するには、トークンとDAOへの理解が不可欠である。

トークンとは

トークンとは、ブロックチェーン技術を用いて発行された電子的な証票だ。具体的な例には、仮想通貨やNFTが挙げられる。ガバナンストークンは、DAOという組織内で発行されて使用できる仮想通貨の種類の1つである。

DAO(分散型自立組織)

DAOは日本語で分散型自立組織と呼ばれ、組織内での意思決定に参加者全員が関わる民主的な組織である。従来の企業は中央集権型組織と呼ばれ、分散型自立組織は社長などの立場の強い者が独断で意思決定を行わないため、組織の参加者全員の意思が反映されることが期待される。ガバナンストークンは意思決定における投票権を保有者に付与し、DAOの運営を円滑に進める目的で発行される。

ガバナンストークンのメリット

ガバナンストークンのメリットは3つある。

  • 購入する以外にも入手方法がある
  • 保有することで特典が受けられる
  • 発行上限が設定されているため資産性がある

購入する以外にも入手方法がある

ガバナンストークンは他の仮想通貨と同様に仮想通貨取引所で購入可能であるが、取引所から購入しなくても入手する方法がある。DAOごとに定められたルールをもとに、組織への貢献に応じて発行されたトークンを入手することだ。

これは、購入するための元本がなくてもトークンの発行条件を満たせるなら、ガバナンストークンを保有できる仕組みである。トークンを保有すればDAOの意思決定にも参加できるので、DAOへの参加は必ずしも購入の元本となる通貨を必要としない。

保有することで特典が受けられる

ガバナンストークンは保有による投票権の付与に加えて、DAO独自の特典が受けられる場合がある。サービスにおける手数料の優遇や、インセンティブが得られるなど特典はさまざまだ。株式における配当や優待と考えると分かりやすいだろう。

トークンは保有してもらうことで価値が増すので、長期的な保有を促すためにガバナンストークンには通常の仮想通貨にはない特典を設けている。保有者にとっても特典のある仮想通貨のほうが長期保有によるメリットは大きく、魅力的な資産であるといえる。

発行上限が設定されているため資産性がある

発行上限が設定されているガバナンストークンは一定の希少性を持つ。そのため、多くのガバナンストークンが発行上限を設定している。発行上限が決まっていれば需要が増加するほどトークンの価値が上昇しやすくなるので、長期的に価値が増すことが期待されるガバナンストークンは資産になる。

将来性のある魅力的なガバナンストークンは投資対象にもなりやすい。発行したトークンが取引所を通して売却されることを防ぐために、特典も含めて長期的に保有するメリットがあることもガバナンストークンの資産性を高める要素となるだろう。

ガバナンストークンのデメリット

一方で、ガバナンストークンのデメリットは2つある。

  • トークンによる意思決定は時間がかかる
  • 大口投資家が強い権利を持ちやすい

トークンによる意思決定は時間がかかる

ガバナンストークンによるDAOの意思決定では、投票権を持った参加者全員で投票をする必要があるので意思決定に時間がかかる点が挙げられる。組織の運営において従来の中央集権型の組織では、組織全体の意思を反映する必要がなく、迅速な意思決定が可能であることから、緊急性の高い内容において柔軟な対応が取りやすいメリットがある。

しかし、ガバナンストークンの投票による意思決定は時間がかかりやすい。参加者の意思が反映されやすい反面、早い対応が求められる状況においてはマイナスになることが懸念される。

大口投資家が強い権利を持ちやすい

DAOによる意思決定では、ガバナンストークンの保有量に応じて投票権が付与される仕組みが多い。つまり、参加者全員の投票を受け付けるものの、トークンの保有量が多い人の権利のほうが強くなる。

つまり、取引所などでガバナンストークンを大量に購入して保有している大口投資家の権利が強くなる懸念があるということだ。ガバナンストークンは資産性もあることから魅力的な投資先にもなるが、DAO内で権利が分散する仕組みを取らなければ、大口投資家の意見による意思決定がなされる状況になりかねないため、民主制の根本が崩れてしまう。

ガバナンストークンの活用事例

ガバナンストークンの活用事例について、具体的なトークンの例を3つ挙げて解説する。

MKR(メイカー)

MKR(メイカー)は、ドルと同じ価値を持つステーブルコインDAIが発行できるDAOのプロジェクトであるMakerDAOにおけるガバナンストークンだ。MakerDAOにおいて今後の方針に関する変更の提案が行われた際には1MKRを1票として投票に参加できる。

MKRの運営はこれまでメイカー財団が主導していたが、DAOの性質上、1つの組織が権力を持つことはデメリットになるので解散を発表した。財団の解散により、多くのMKRの保有者の意見が反映される運営になることが期待される。

UNI(ユニスワップ)

UNI(ユニスワップ)DEX(分散型取引所)のユニスワップで使用できるガバナンストークンだ。DEXとはBinanceなどの取引所を介さずにユーザー同士が直接仮想通貨を取引できる場所だ。ユニスワップでは、プールと呼ばれる場所に仮想通貨を預けることで、利息収入としてUNIを獲得できる仕組みがある。仮想通貨を預けるだけで誰でもUNIを獲得可能であり、ユニスワップの意思決定に参加できる仕組みだ。

AAVE(アーべ)

AAVE(アーべ)はレンディングやフラッシュローンなどの仮想通貨の貸し借りができるアーべのガバナンストークンである。AAVEを保有するとアーべ内で手数料の割引が受けられる特典がある。サービスを利用するほどお得になる仕組みであるため、長期的な保有を促しやすい。

ガバナンストークンの一部は国内の仮想通貨取引所で購入できる

ガバナンストークンは、DAO内で条件を満たして発行できるが取引所から購入することが可能だ。今回紹介したガバナンストークンに関しては、MKRは国内取引所のGMOコインCoincheckでも購入できる。