暗号資産(仮想通貨)の基礎用語

本ページでは、暗号資産にまつわる基礎用語を簡単に解説する。

重要なキーワード

暗号資産(仮想通貨、cryptocurrency)

暗号資産(仮想通貨)とは、電子データのみでやりとりされる通貨であり、法定通貨のように国家による強制通用力(金銭債務の弁済手段として用いられる法的効力)を持たず、主にインターネット上での取引などに用いられる。デジタル通貨(digital currency)とも。

2009年に運用が開始されたビットコイン(bitcoin)の登場以降、アルトコイン(altcoin)と呼ばれる派生の仮想通貨も次々と生まれ、法定通貨と仮想通貨を交換する仮想通貨取引所と呼ばれる交換業者が登場して、仮想通貨の保有が急速に広がった。

ブロックチェーン(blockchain)

ブロックチェーンとは、分散型ネットワークを構成する複数のコンピューターに、暗号技術を組み合わせ、取引情報などのデータを同期して記録する手法。一定期間の取引データをブロック単位にまとめ、コンピューター同士で検証し合いながら正しい記録をチェーン(鎖)のようにつないで蓄積する仕組みであることから、ブロックチェーンと呼ばれる。別名「分散型台帳」。ビットコインなどの暗号通貨に用いられる基盤技術である。

Web3.0

Web3.0は分散型プロトコルを促進し、ユーチューブ、ネットフリックス、アマゾンなどの大手テック企業への依存を減らそうとする、次なるインターネットを意味する。自らのデータと引き換えに無料のテックプラットフォームを利用するのではなく、ユーザーはプロトコルのガバナンスや運営に参加することができる。つまり、単なる顧客ではなく、参加者や株主になれるのである。

NFT(Non-Fungible Token)

NFT(Non-Fungible Token)は「非代替性トークン」と訳され、仮想通貨にも使われるブロックチェーン技術を利用することで、コピーや改ざんを防止し、デジタルデータに資産価値を付与したもの。ごく簡単に説明するならば、デジタル資産の鑑定書や所有証明書である。

有名アーティストの世界で1枚のイラストなど、代替できないデータがNFTの対象となる。適用範囲は多岐に渡るが、その中でもアート、ゲーム、音楽などが話題となっている。

ビットコイン(Bitcoin / BTC)

ビットコインは暗号資産の一種。2022年7月現在、世界で最も時価総額の高い仮想通貨であり、暗号資産の「基軸通貨(取引で基準として使われる通貨)」でもある。

ビットコイン以外の仮想通貨を総称して「アルトコイン」と呼ぶが、ビットコインを持っていればほとんどのアルトコインをビットコイン建てで購入できる。そのためビットコインの価格が変動すると、他の仮想通貨の価格にも影響を及ぼす。

イーサリアム(Ethereum / ETH)

イーサリアム(Ethereum)とは、ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)によって考案され、2014年に販売が開始された暗号資産(仮想通貨)のこと。単位はイーサ(ETH)。アルトコインと総称されるビットコイン以外の仮想通貨の中でも、代表的なものとして数えられる。

知っておきたいキーワード

DAO(Decentralized Autonomous Organization)

DAO(Decentralized Autonomous Organization)は、直訳すると分散型自律組織となる。DAOが結成される目的はさまざまあるが、共通する組織の形態として、組織を統率する中央管理者の立場にある人物が存在しない。参加者全員が平等に権利を持ち、民主的に組織内で意思決定をして運営を進めていく。またDAOを動かすシステムのソースコードは誰でも閲覧できる。公平性と透明性が保たれた新たな組織の形態といえるだろう。

Dapps(Decentralized Applications)

Dapps(Decentralized Applications)は、日本語で分散型アプリケーションと呼ばれ、ブロックチェーンを用いたアプリの総称である。現在では、ゲームや金融サービスを中心にアプリが開発されている。Dappsを支える機能がスマートコントラクトであり、ブロックチェーン技術により自動で契約を処理・実行する仕組みだ。

DeFi(Decentralized Finance)

DeFi(Decentralized Finance)は、日本語では分散型金融と訳して呼ばれることがある。金融サービスのことを指すが、既存の金融サービスとは異なり、銀行のような中央集権的な管理者が存在しない。

イーサリアム(ETH)のブロックチェーン技術により、管理者が存在しなくても高いセキュリティで資産を管理し、信頼性の高い金融サービスを利用者に提供することが可能となっている。今後の銀行や証券会社が提供する金融サービスの在り方が変わる可能性や、仮想通貨の将来性の観点から注目を集めている。

DEX(Decentralized Exchanges)

DEX(Decentralized Exchanges)は日本語で分散型取引所と呼ばれる。仲介者となる企業が存在しない、ユーザー同士が直接仮想通貨を取引できるブロックチェーン上に構築される取引所だ。仲介者が存在しないため、仲介手数料や本人確認などの手続きを必要とせずに利用が可能である。一方で、ユーザーはこれまで仲介者がやっていた法定通貨から仮想通貨への交換やウォレットの秘密鍵の管理を自身で行う必要がある。

IEO(Initial Exchange Offering)

IEOは暗号資産を利用した新たな資金調達手段のことであり、暗号資産の発行体が取引所を介して仮想通貨を先行販売することによって、投資家から資金を集める仕組みだ。IEOは先行販売であることから正式な上場時よりも安い価格で購入しやすく、取引所が審査を行うことで一定の信頼性があることから投資家からも注目を集めている。

INO

INOは「Initial NFT Offering」の略であり、比較的新しいNFTの販売形式だ。NFTの先行販売の仕組みで、申し込み期間中に購入予約を行い、抽選などで当選者が決まり、購入枠を得た人が該当するNFTを先行購入できる。CoincheckやZaifなどの暗号資産取引所が複数のプロジェクトをすでに実施している。

INOに似た仕組みとして「IEO」(Initial Exchange Offering)や「IPO」(Initial Public Offering)がある。IEOは暗号資産が対象、IPOは株式が対象の先行販売の仕組みで、IPOは日本語では「新規株式公開」と訳され、株式投資の間ではおなじみだ。

PoS(Proof of Stake)

PoSは、保有(ステーク)によって取引を承認する合意方法である。暗号資産の保有量が大きいほど承認に対する役割を割り当てられる確率が高まり、承認が完了すると暗号資産が付与される。

PoW(Proof of Work

PoWは、作業(ワーク)を伴う承認作業による合意方法である。取引が発生したとき、マイナーと呼ばれる承認作業を行う人々によるマイニングによってデータの承認が行われる。

エアドロップ

エアドロップとは無料で暗号資産やトークンが配布されるイベントを指す。ブロックチェーンは基本的に参加者が多いほど安定する。また、暗号資産を投資対象として見たとき、取引に参加する投資家は基本的に多い方が都合がよい。発行から間もない暗号資産やトークンは参加者が少なく、デメリットが表面化しやすい。その解決のための手段の一つがエアドロップであり、参加者の増加や認知度の向上を図っている。

クジラ

クジラとは金融市場における大口投資家のことを指す。ビットコイン市場におけるクジラは、1,000BTC(約28億円、2022年6月27日時点)以上保有する投資家を指す場合が多い。2022年2月末時点で、ビットコイン市場には2,259のクジラが確認されている。

ガバナンストークン

ガバナンストークンは、従来の組織における株式に近い存在であり、保有することでDAOの運営に関わることが可能となる。DAO(分散型自立組織)の運営における意思決定において、保有者に投票の権利を与えるトークンである。

サトシ・ナカモト

サトシ・ナカモトはビットコイン(BTC)の開発者とされている人物であるが、その正体は依然として明らかにされていない。現在の価値にして数兆円にも上る大量のビットコインを所有しており、その正体をめぐっては様々な噂が流れている。

スケーラビリティ(スケーリング)問題

スケーリング、スケーラビリティとは「拡張性」という意味であり、システムやネットワークが利用負荷の増大に対応できる度合いのことを指す。ブロックチェーンにおけるスケーラビリティ(スケーリング)問題とは、利用者の増加によるシステム負荷の増大によって懸念されるリスクのことだ。スケーラビリティ問題を放置すると、仮想通貨を利用するにあたって支障をきたすことから、今後の普及のためにも問題の解決が急務とされている。

ステーブルコイン

ステーブル(stable)とは日本語で「安定」を意味している通り、ステーブルコインは法定通貨などの裏付け資産を持ち、価格の安定性を重視して設計された暗号資産である。一般的な暗号資産が普及するにあたって、価格の安定化を目指し、実用性を高めることを目的に発行された。ステーブルコインの発行者は裏付けとなる資産を保有することで、コインの信頼性を担保する仕組みだ。

スマートコントラクト

スマートコントラクトはブロックチェーン上の契約のことを指す。直訳すると「賢く(smart)契約(cotract)する」という通り、あらかじめプラグラムを実行するルールを決めておくと、条件を満たした場合に自動的に契約を承認する。人の手を介さず契約の履行ができることから、応用性が高く、さまざまなプロジェクトを支える新たな技術として将来性が期待されている。

セキュリティトークン

セキュリティトークンは、ブロックチェーン技術を利用して発行されるデジタル化した有価証券のことだ。金融商品取引法の第2条第2項により「電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値に表示される場合に該当するもの」が「電子記録移転有価証券表示権利等」に当たり、法律上でも有価証券とみなされる。

トークンエコノミー

トークンエコノミーは直訳すると「代替通貨経済圏」となり、仮想通貨などのトークンによって生まれる経済圏のことを指す。トークンとは、商品などの価値を持つ物と交換できる物を表す。

ビットコインETF・暗号資産ETF

ここ数年、ビットコインの価格の変動に連動するETF(上場投資信託)がアメリカ国内で承認されるかどうかに、大きな注目が集まった。

ビットコインの先物価格に連動するETFに続いて、現物に連動するETFが2024年1月に米証券取引委員会(SEC)に承認され、暗号資産を取引するための口座を保有していなくても、証券口座を持っていればビットコインETFの保有を通じて容易に暗号資産への投資ができるようになった。

このことは、ビットコインへ投資する人が増えることを意味し、ビットコインの今後のさらなる価格上昇が期待される要因の一つとなっている。

ちなみにビットコインに限らず暗号資産の価値に連動することを目指すETFのことを、暗号資産ETF(仮想通貨ETF)と呼ぶ。