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近年では、複数の取引所でステーキングサービスを開始しており、サービスに対応する暗号資産も増えている。ステーキングは特別な手続きをすることなく、保有するだけで報酬が得られる仕組みとなっているため、気軽に報酬を得ようと考えている人もいるかもしれないが、税金の仕組みが気になる人もいることだろう。
本記事では、ステーキングを利用するなら知っておきたい課税の仕組みと、税金の申告方法を解説する。ステーキングの対象となる主な暗号資産も紹介しているため、保有している暗号資産があれば知らず知らずのうちに報酬を得ていることがないように確認することを推奨する。
暗号資産のステーキングとは?
ステーキングとは特定の暗号資産を保有し、継続して利益が得られる仕組みのことである。ステーキングによる報酬が得られる暗号資産は、保有することでブロックチェーンネットワークに参加し、ブロックチェーンの安定した稼働に貢献したことを理由に、保有の数量や期間に応じて報酬が受け取れる。
ステーキングの登場により、売買差益が主な利益の獲得方法であった暗号資産は、株や投資信託などの伝統的な金融資産と同様に配当金や分配金によるインカムゲインの報酬が得られるようになった。保有を続けることで利益が得られる仕組みがあることから、長期投資がしやすくなったといえるだろう。
ステーキングにかかる税金の仕組み
ステーキングによる報酬に対する税金の仕組みは、2つのタイミングにわけて税金がかかる仕組みである。暗号資産は売却して日本円に換えたタイミングにのみ税金がかかると考えていると、ステーキングを利用する場合は申告漏れになってしまうため注意が必要だ。以下に2つのタイミングをまとめた。
- 報酬を受け取ったタイミングで納税の義務が生じる
- 報酬を売却したときの利益に基づき税金を納める必要がある
報酬を受け取ったタイミングで納税の義務が生じる
ステーキングの税金は、報酬を暗号資産で受け取ったタイミングで税金がかかる仕組みだ。例えば、ステーキング報酬により3,000ADA(カルダノ)を受け取ったとき、1ADAの時価が日本円で50円であったと仮定すると、日本円に換算した15万円を所得金額に算入して税金を計算することになる。
報酬を売却したときの利益に基づき税金を納める必要がある
ステーキング報酬を日本円に換えたときは、受け取ったタイミングから価値が上昇した金額に対して税金を納める必要がある。例えば、3,000ADAをステーキング報酬により獲得したときの時価が15万円であったとき、売却したときの時価が150円となった場合、その価値は45万円に変化する。このときかかる税金は、売却した45万円から取得時のステーキング報酬の価値である15万円を差し引いた30万円に対して課税される仕組みだ。
ステーキングの税金の申告方法
2つの課税タイミングに対するステーキングの税金の申告方法を紹介する。
- ステーキング報酬を受け取ったとき
- ステーキング報酬を売却したとき
ステーキング報酬を受け取ったとき
ステーキング報酬を受け取った年度に、暗号資産の時価を計算して雑所得として確定申告する。時価の計算は取引所から提供される年間取引報告書のように、正確な情報を参照して計算する必要がある。
また、ステーキングでは必要経費がほとんどの場合で発生しないため、必要経費はゼロとして計算を進める。
ステーキング報酬を売却したとき
ステーキング報酬を取得したときの時価から上昇した価値に対して税金を納めることになる。しかし、暗号資産を購入したタイミングやステーキング報酬を受け取ったタイミングが複数回にわたると、その度に計算する必要があるため、計算の手間が非常にかかってしまう。
そのため、総平均法を用いて売却時の課税対象金額を決定することが一般的だ。総平均法は、基準期間におけるステーキングの取得価額を平均化して暗号資産の税金を計算する方法である。国税庁では国内取引所を利用した暗号資産の取引に対して、暗号資産の計算書を用意しているため、計算書を用いればステーキング報酬を売却したときの課税対象金額を申告できる。
ステーキングの対象となる主な暗号資産
2023年8月時点で、国内取引所のステーキングの対象となる主な暗号資産とサービスを提供している取引所をまとめた。
通貨名 | ステーキングを提供している取引所 |
イーサリアム(ETH) | SBI VC Trade BITPoint |
カルダノ(ADA) | GMOコイン SBI VC Trade BITPoint CoinTrade |
ポルカドット(DOT) | GMOコイン SBI VC Trade CoinTrade |
コスモス(ATOM) | GMOコイン SBI VC Trade |
テゾス(XTZ) | GMOコイン SBI VC Trade CoinTrade |
シンボル(XYM) | GMOコイン |
クアンタム(QTUM) | GMOコイン |
アスター(ASTR) | GMOコイン |
ソラナ(SOL) | SBI VC Trade |
アバランチ(AVAX) | SBI VC Trade |
オアシス(OAS) | SBI VC Trade |
エックスディーシー(XDC) | SBI VC Trade |
ポリゴン(MATIC) | CoinTrade |
アイオーエスティー(IOST) | CoinTrade |
パレットトークン(PLT) | CoinTrade |
上記の取引所で暗号資産を保有している場合は、知らず知らずのうちにステーキング報酬の獲得の対象になってないか確認する必要がある。ステーキングサービスを提供していない取引所で、上記で挙げた暗号資産を保有している場合も、ステーキングサービスの開始により対象となる場合もあるので、取引所のニュースなどを定期的に確認することを推奨する。
ステーキングの税金に対する注意点
ステーキングの税金に対する注意点は3つある。
- 日本円に換金しなくても税金が発生する
- レンディング・貸暗号資産も同様の仕組み
- ステーキングは受け取らない選択肢もある
日本円に換金しなくても税金が発生する
ステーキングへの課税は、報酬を日本円で受け取っていないにもかかわらず、日本円で税金を支払う仕組みである。そのため、暗号資産を売却しない場合は、別途日本円で税金を用意する必要がある。
株式や投資信託の場合、配当金や分配金に対しては源泉徴収がなされるため、売却して現金化するまでは自身で確定申告をする必要がないことが一般的である。しかし、仮想通貨の場合は長期保有でインカムゲインを獲得する投資方法であっても、確定申告の義務があれば自身で計算して税金を毎年納める必要があるため注意が必要だ。
レンディング・貸暗号資産も同様の仕組み
ステーキング以外に取引所で提供されているレンディング・貸暗号資産といったサービスも税金の仕組みはステーキングと同様だ。報酬が付与されたタイミングを基準に税金を申告する必要がある。
ステーキングは受け取らない選択肢もある
ステーキング報酬を受け取りたくない場合は取引所の設定でオフにできる。報酬を受け取らない設定にすれば、売却時以外で課税されることはない。GMOコインでは会員ページのステーキングの項目でステーキング報酬を受け取らない設定にできる。
ステーキングの税金の仕組みを理解して正しく申告する
ステーキングの課税には2つのタイミングがあり、申告方法を正しく理解することが重要である。確定申告の義務がある場合は、少額のステーキング報酬でも報酬を受け取った年度に確定申告が必要になるため注意が必要だ。会社員で確定申告の義務がない場合も、ステーキング報酬が一定額を超えると確定申告の義務が発生する可能性もあるため、年度末には全体の報酬額を確認することを推奨する。