暗号資産(仮想通貨)取引にかかる税率は? | 利益の所得ごとの一覧あり

暗号資産(仮想通貨)取引で得た利益には税金がかかるが、所得の種類によって適用される税率が異なる。
現在、日本では個人が暗号資産取引で得た利益は雑所得とみなされ、総合課税の対象となっている。ただし、取引を事業として継続的に行っている場合は、事業所得として扱われる可能性もある。
近年、税制の改正が議論されており、税率の引き下げを求める声もある一方、現時点では現行のルールに従って納税しなくてはならない。
そのため、暗号資産の税制について疑問を持つ人も多いだろう。
「暗号資産を始めたいけれど税率がよくわからない」
「実際にしている人達に聞くと、それぞれ税率が違うんだけど?」
このように、税率の仕組みが分かりにくく、暗号資産にかかる税金が高いと聞いて取引を始めるのをためらう人も少なくない。
暗号資産は総合課税の対象となるため、暗号資産自体の利益以外の所得と合わせて税率が計算される。
会社員の場合はそれぞれの年収の高さとそれぞれの暗号資産での利益が合算されることで、人によって税率が異なっているのだ。
この記事では、暗号資産取引にかかる税率を詳細について、一覧で分かりやすく解説し、主なポイントを整理している。
CoinDeskJapan推奨|おすすめの国内仮想通貨取引所3選
取引所名 | 特徴 |
---|---|
![]() coincheck | 【500円の少額投資から試せる!】 ◆国内の暗号資産アプリダウンロード数.No1 ◆銘柄数も最大級 、手数料も安い ▷無料で口座開設する◁ |
![]() bitbank | 【たくさんの銘柄で取引する人向け】 ◆40種類以上の銘柄を用意 ◆1万円以上の入金で現金1,000円獲得 ▷無料で口座開設する◁ |
![]() SBI VC トレード | 【安心安全な環境で取引したい人向け】 ◆SBIグループの100%子会社で、セキュリティが安心 ◆各種手数料無料 ▷無料で口座開設する◁ |
【所得別】暗号資産(仮想通貨)取引の利益の税率・金額早見表
まずは、年間利益から導かれる税率と税金額の早見表を見てみよう。
年間利益(万円) | 所得税率(%) | 住民税率(%) | 合計税率(%) |
---|---|---|---|
〜195未満 | 5 | 10 | 15 |
195〜330未満 | 10 | 10 | 20 |
330〜695未満 | 20 | 10 | 30 |
695〜900未満 | 23 | 10 | 33 |
900〜1800未満 | 33 | 10 | 43 |
1800〜4000未満 | 40 | 10 | 50 |
4000〜 | 45 | 10 | 55 |
暗号資産で得た利益は雑所得の扱いとなり、住民税は利益の大きさに関わらず一律10%となっている。
この表からわかるように、年間利益が増えるほど所得税率が上昇し、合計税率は最大で55%にもなる。
暗号資産取引で高額の利益を得た場合、税負担も大きくなるため、適切な税務対策が重要だ。
暗号資産(仮想通貨)の利益の税率は総合課税の対象
暗号資産で取引で得た利益は、総合課税の対象だ。
総合課税とは、給与所得や事業所得など他の所得と合算して課税される方式のこと。
暗号資産取引においては、所得が増えるほど税率が上がる累進課税が適用される。
年間利益(万円) | 所得税率(%) | 住民税率(%) | 合計税率(%) |
---|---|---|---|
〜195未満 | 5 | 10 | 15 |
195〜330未満 | 10 | 10 | 20 |
330〜695未満 | 20 | 10 | 30 |
695〜900未満 | 23 | 10 | 33 |
900〜1800未満 | 33 | 10 | 43 |
1800〜4000未満 | 40 | 10 | 50 |
4000〜 | 45 | 10 | 55 |
税率は5%から45%までの7段階に分かれ、住民税10%を加えると最大55%となる。
たとえば、給与所得と暗号資産の利益を合わせた総所得が900万円の場合、所得税率は33%、住民税と合わせると43%だ。
所得が多いほど負担が大きくなるため、利確前に納税計画を立てておくことが重要となる。
暗号資産(仮想通貨)取引による収入は雑所得として計算される
個人が暗号資産取引で得た利益は、原則として雑所得に分類される。
雑所得は、給与所得や事業所得とは別に計算され、総合課税の対象だ。
そのため、所得が増えるほど税率が上がる累進課税が適用される。
個人が暗号資産(仮想通貨)取引で得た利益は、原則として雑所得に分類される。しかし、個人事業主として暗号資産取引を事業的規模で行い、その収入が生計の主たる収入源となっている場合、事業所得として認められる可能性がある。事業所得として認められると、青色申告による65万円の控除や、他の所得との損益通算、損失の3年間繰越控除などの税制上のメリットを享受できる。ただし、会社員が副業として暗号資産取引を行っている場合など、主たる収入が別にある場合は、事業所得と認められにくい。
税率は5%から45%までの7段階に分かれ、住民税10%を加えると最大55%となる。
年間利益(万円) | 所得税率(%) | 住民税率(%) | 合計税率(%) |
---|---|---|---|
〜195未満 | 5 | 10 | 15 |
195〜330未満 | 10 | 10 | 20 |
330〜695未満 | 20 | 10 | 30 |
695〜900未満 | 23 | 10 | 33 |
900〜1800未満 | 33 | 10 | 43 |
1800〜4000未満 | 40 | 10 | 50 |
4000〜 | 45 | 10 | 55 |
損失が出ても他の所得と相殺できない点が、株式などの譲渡所得と異なる特徴だ。
国税庁では、300万円の利益収入、そして暗号資産取引に係る帳簿書類の保存がある場合は事業所得として扱われるとしている。
暗号資産取引により生じた損益は、 邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益と認められますので、原則として、雑所得(その他雑所得)に区分されます。
暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)2-2 暗号資産取引の所得区分
ただし、その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超える場合には、次の所得に区分されます。
・ 暗号資産取引に係る帳簿書類の保存がある場合・・・原則として、事業所得
・ 暗号資産取引に係る帳簿書類の保存がない場合・・・原則として、雑所得(業務に係る雑所得)
しかし、個人が行う取引で、完璧で正確な帳簿書類を期日内に納めるのは簡単ではない。
もし事業所得として納税したいのであれば、税理士に相談してみるのも一手だ。
給与所得を得ているサラリーマンの場合、雑所得が年間で20万円を超えると所得税がかかる
給与所得者(サラリーマン)の場合、年間の雑所得が20万円を超えると確定申告が必要だ。
たとえば、給与以外の収入として暗号資産取引で30万円の利益を得た場合、超過分の10万円が課税対象となる。
一方、年間20万円以下であれば所得税の申告は不要だが、住民税の申告は必要となる。
市民税・県民税には、所得税のような申告の省略範囲はなく、原則としてすべての所得を申告する必要があります。したがって、給与所得者で給与所得以外の所得が20万円以下の場合にも、市民税・県民税の申告を行う必要があります。
名古屋市
申告漏れがあると、後で追徴課税を受ける可能性があるため、正確な計算と申告を心がけよう。
被扶養者(学生や主婦など)は雑所得48万円以上で所得税がかかる
被扶養者(学生や主婦など)が暗号資産(仮想通貨)取引で利益を得た場合、年間の雑所得が48万円を超えると所得税が課される。
また、年間の合計所得が48万円を超えると、扶養から外れる可能性がある。
雑所得 | 所得税の課税 | 不要の可否 |
---|---|---|
48万円以下 | 課税されない | 不要ない |
48万円超 | 課税される | 不要街 |
扶養から外れると、扶養者(配偶者や親など)が受けていた扶養控除や配偶者控除が適用されなくなり、扶養者の所得税や住民税の負担が増加する。
なお、令和7年度(2025年)税制改正の大綱によれば、同一生計配偶者および扶養親族の合計所得金額要件が現行の48万円以下から58万円以下に引き上げられる予定だ。
同一生計配偶者及び扶養親族の前年の合計所得金額要件を 58 万円以下
引用:財務省
(現行:48 万円以下)に引き上げる
被扶養者が暗号資産取引で利益を得る際は、これらの所得基準を超えないよう注意し、扶養者の税負担への影響を考慮することが重要だ。
暗号資産(仮想通貨)を保有しているのみであれば確定申告は不要
暗号資産(仮想通貨)を単に保有しているだけでは、所得が発生しないため確定申告は不要だ。
たとえば、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を購入し、そのままウォレットや取引所に保管している場合、課税対象にはならない。
ただし、売却や他の暗号資産との交換、マイニング報酬の受け取りなどにより利益が発生した場合は課税対象となり、確定申告が必要になる。
また、暗号資産をステーキングやレンディングに回し、報酬を受け取った場合は課税対象となる。
また、ハードフォークで新しい暗号資産を受け取った場合も、売却時には課税対象となる。
ハードフォークによって新しい暗号資産を受け取った場合、取得時点では課税されない。しかし、新しい通貨を売却・交換した時点で課税対象(雑所得)となる。取得価格は「0円」とみなされるため、売却価格の全額が利益となり、税負担が大きくなる可能性がある。
適切な申告を行うために、取引状況を正確に記録しておくと安心だ。
自分の利益をどこまでに抑えるのか、大きく利益を確定させた場合に税金はどうなるのかなど、しっかりと考えておこう。
法人化して暗号資産(仮想通貨)取引を行った場合の税率と個人の場合の税率を比較
暗号資産取引の利益に対する税率は、個人の場合は累進課税(最大55%)、法人の場合は法人税率(最大約30%)が適用される。
個人が暗号資産取引で得た利益は雑所得に分類され、総合課税の対象となる。そのため、他の所得(給与所得など)と合算され、5%〜45%の所得税が適用される。さらに、住民税(10%)が加算され、最大税率は55%に達する。
年間利益(万円) | 所得税率(%) | 住民税率(%) | 合計税率(%) |
---|---|---|---|
〜195未満 | 5 | 10 | 15 |
195〜330未満 | 10 | 10 | 20 |
330〜695未満 | 20 | 10 | 30 |
695〜900未満 | 23 | 10 | 33 |
900〜1800未満 | 33 | 10 | 43 |
1800〜4000未満 | 40 | 10 | 50 |
4000以上 | 45 | 10 | 55 |
法人の場合、暗号資産取引による利益は法人所得として扱われ、法人税・住民税・事業税が課される。法人の税率は一定で、個人の累進課税よりも税負担を抑えられる可能性がある。
法人の課税所得(年間) | 法人税率(%) | 実効税率(目安) |
---|---|---|
800万円以下 | 約15% | 約22% |
800万円超 | 約23% | 約30% |
個人の暗号資産取引の利益は「雑所得」として総合課税の対象となる。
そのため、他の所得と合算され、累進課税(最大税率55%)が適用される。
法人税は一定の税率(中小法人なら最大約33%)であるため、所得が増えても税負担が一定に抑えられる。
利益が800万円を超えそうな場合には、法人化を検討してみても良いだろう。
暗号資産(仮想通貨)取引での所得が800万円以上の個人は法人化で節税できる可能性が高い
年間所得 | 個人の税率(累進課税) 住民税含む | 法人の税率(実効税率) 法人住民税・事業税含む |
---|---|---|
300万円 | 20% | 21% |
500万円 | 30% | 21% |
800万円 | 30% | 21% |
1000万円 | 33% | 33% |
2000万円 | 43% | 33% |
4000万円 | 55% | 33% |
個人の税率は累進課税であり、利益が800万円を超えると税率が33%以上に上がる。
一方、法人化すると、800万円以下の所得は約22%、それ以上の場合も約30%の税率で済む。
年間利益が800万円以上の個人は、法人化によって税負担を抑えることができる可能性が高いと言える。
そのため、暗号資産取引で継続的に高い利益を得ている場合は、法人化を検討することで節税効果を期待できる。
法人で暗号資産(仮想通貨)取引を行うメリット
法人化すると、税率が最大約30%に抑えられ、経費を幅広く計上できるため、特に年間利益が800万円以上のトレーダーにとって節税効果が大きい。
個人の暗号資産取引による利益は累進課税(最大55%)が適用される。年間利益800万円のケースでは、所得税33%、住民税10%を含めると合計税率は43%となる。
税額の計算:
800万円 × 43% = 344万円(納税額)
手元に残る利益:800万円 – 344万円 = 456万円
法人化すると、実効税率は約30%(法人税21%、法人住民税・事業税を含めて約30%)に抑えられる。
税額の計算:
800万円 × 30% = 240万円(納税額)
手元に残る利益:800万円 – 240万円 = 560万円
また、役員報酬で所得を分散できるほか、最大10年間、赤字を繰り越せる。
法人名義の銀行口座や取引所の法人向けサービスが利用できるなど、信用力の向上もメリットとなる。
法人化すると、税率の軽減、経費計上の拡大、損失繰越の活用など、個人では得られないメリットがある。
特に、年間利益が800万円を超える場合、税負担を大幅に抑えられる可能性が高いため、法人化を検討する価値はあるだろう。
法人で暗号資産(仮想通貨)取引を行うデメリット
法人化すると、設立や維持にコストがかかり、税務申告が個人よりも複雑になる。
法人税・住民税・事業税の計算に加え、役員報酬や交際費の扱い、資産の減価償却なども考慮しなければならない。
また、暗号資産の評価方法(移動平均法・総平均法)を法人として適用し、帳簿上の処理を適切に行う必要がある。
法人の税務申告は個人の確定申告よりも手続きが複雑で、専門知識が求められる。
税務書類の作成や会計処理を正確に行う必要があるため、税理士への依頼が一般的だ。
また、役員報酬は年に1回しか変更できず、含み損は損失として計上できないため、価格変動の影響を受けやすい。
さらに、法人用の会計管理や書類作成など、運営の負担も増える点には注意が必要だ。
法人化すると税率の低減や経費計上のメリットがあるが、税務処理が複雑になり、税理士への依頼や会計管理の負担が増える点に注意が必要。
特に、役員報酬の固定性や含み損の扱いは、価格変動が激しい暗号資産市場においてデメリットとなる可能性がある。
法人化を検討する際は、こうした運営コストや手続きの負担も考慮し、長期的な視点で判断することが重要である。
暗号資産(仮想通貨)取引による所得の計算方法
暗号資産の売却による所得は、売却価格から取得価格(購入価格)を差し引いた利益として計算される。
この取得価格の算出方法には、移動平均法と総平均法の2つの方法がある。
税務処理では、どちらの方法を選択しても良いが、一度選んだ方法を継続して適用する必要があるため、慎重に決めることが重要だ。
移動平均法
移動平均法とは、暗号資産を購入するたびに平均取得単価を再計算し、売却時の取得価格を決定する方法だ。
その時点の保有数量に基づいて平均取得単価が更新されるため、短期売買を行う場合により正確な価格計算ができる。
(直前の取得単価 × 保有数量 + 新規購入価格 × 購入数量)÷(保有数量 + 購入数量)
取引日 | 購入・売却 | 数量(ビットコインの場合) | 価格 | 保有数量(ビットコインの場合) | 平均取得単価(円) |
---|---|---|---|---|---|
1月1日 | 購入 | 1.0 | 400万円 | 1.0 | 400万円 |
2月1日 | 購入 | 0.5 | 500万円 | 1.5 | 433万円((400×1 + 500×0.5) ÷ 1.5) |
3月1日 | 売却 | 0.5 | 550万円 | 1.0 | 433万円(変わらず) |
売却時の所得計算
(売却価格550万円-平均取得単価433万円)x 0.5BTC = 58.5万円
移動平均法は、暗号資産の取得単価を常に更新するため、価格変動の影響をリアルタイムで反映できる評価方法だ。
頻繁に取引を行う場合や、市場価格の変動を考慮したい場合に適している。
ただし、計算の手間がかかるため、取引履歴の管理が重要となる。
総平均法
総平均法とは、一定期間内の全購入額を合計し、その期間の購入数量で割って取得単価を計算する方法だ。
移動平均法と異なり、購入ごとに計算する必要がなく、年間を通じて一括で取得単価を決定する。
年間の総購入額 ÷ 年間の総購入数量
取引日 | 購入・売却 | 数量(ビットコイン) | 価格 |
---|---|---|---|
1月1日 | 購入 | 1.0 | 400万円 |
2月1日 | 購入 | 0.5 | 500万円 |
3月1日 | 売却 | 0.5 | 550万円 |
総取得単価計算
(400万円 x 1 + 500万円 x 0.5)÷(1 + 0.5)=433万円
売却時の所得計算
(売却価格550万円 – 平均取得単価433万円)x 0.5BTC = 58.5万円
総平均法は、一定期間の取得総額と総数量をもとに、平均取得単価を計算する方法で、管理が容易で安定した税務処理ができる。
特に長期投資家や取引回数が少ない人に適しており、短期の価格変動に左右されにくい。
ただし、頻繁に取引を行うトレーダーにとっては、市場価格の変動を反映しづらいため、移動平均法のほうが適している場合もある。
暗号資産(仮想通貨)取引で所得が発生する(課税対象となる)ケース
暗号資産に関連する取引のうち、所得が発生し、課税対象となるケースはいくつか存在する。
所得税の対象となるかどうかは、取引によって得た利益(所得)が発生するかが基準となる。
以下、主なケースを解説する。
暗号資産(仮想通貨)を売却したケース
売却によって利益が発生した場合、その利益は課税対象となる。
売却価格と取得価格(購入価格)の差額が所得(利益)として計算される。
売却価格 – 取得価格 = 課税所得
【例】
購入時:1BTC = 400万円で購入
売却時:1BTC = 500万円で売却
→ 所得(利益) = 500万円 - 400万円 = 100万円(課税対象)
- 個人:雑所得(総合課税の対象)
- 法人:法人所得
暗号資産を売却すると、売却価格と取得価格の差額が利益となり、課税対象となる。
利益は雑所得として総合課税の対象となるため、年間利益が20万円を超える場合は確定申告が必要だ。
暗号資産(仮想通貨)を決済手段として利用したケース
暗号資産を使って商品やサービスを購入した場合も、売却と同じ扱いになり課税対象となる。
これは、日本の税法上、暗号資産は「資産」として扱われ、法定通貨(円やドル)とは異なるためである。
商品購入時の暗号資産の時価 – 取得価格 = 課税所得
【例】
購入時:1BTC = 400万円
決済時:1BTC = 500万円
1BTCを使ってパソコン(50万円相当)を購入
→ 所得(利益) = 50万円 - 40万円(BTCの取得価格) = 10万円(課税対象)
日本の税制では、暗号資産の利用は「譲渡(売却)」と見なされるため、利用時点で取得価格との差額が課税所得(雑所得)となる。
そのため、頻繁に暗号資産で支払いを行うと、そのたびに税務処理が必要となり、管理が煩雑になる可能性がある。
税負担を抑えるためにも、利用前に価格変動や税制の影響を考慮することが重要だ。
暗号資産(仮想通貨)を別の銘柄の仮想通貨に交換したケース
異なる暗号資産同士の交換も、売却と同じ扱いになり課税対象となる。
たとえば、ビットコイン(BTC)をイーサリアム(ETH)に交換した場合、BTCを売却したとみなされる。
交換時の時価 – 取得価格 = 課税所得
【例】
BTC購入時:1BTC = 400万円
BTCをETHに交換する時のBTC時価:1BTC = 500万円
→ 所得(利益) = 500万円 – 400万円 = 100万円(課税対象)
暗号資産を別の銘柄の暗号資産に交換すると、売却とみなされ、取得価格との差額が雑所得として課税対象となる。
交換した暗号資産を売却していなくても税金が発生するため、頻繁な交換は税負担や管理の手間を増やす可能性がある。
税金の影響を考慮しながら、計画的に取引を行おう。
暗号資産(仮想通貨)を贈与されたケース
暗号資産を贈与された場合、受け取った側には「贈与税」が発生する可能性がある。
ただし、年間110万円までの贈与は基礎控除が適用され、税金はかからない。
【課税のポイント】
暗号資産を贈与された場合、年間110万円を超えると贈与税が発生する。
また、受け取った暗号資産を売却すると、その売却益に対して所得税が課されるため、税務処理を正しく行うことが重要。
特に、高額な贈与を受ける場合は、税負担を考慮し、適切な計画を立てよう。
マイニング・ステーキング・レンディングなどで仮想通貨を取得したケース
マイニング、ステーキング、レンディングで暗号資産を取得した場合、その受取時点で所得が発生し、課税対象となる。
マイニングで得た暗号資産は、取得時点の時価で所得として計算される。発生したコスト(電気代や設備費など)は経費として計上できる。
受取時の時価 – マイニングコスト = 課税所得
課税区分
ステーキング報酬も、受取時点の時価で所得として計算される。報酬が定期的に発生するため、継続的な記録が必要。
受取時の時価 = 課税所得
課税区分
レンディングによる利息収入も、受取時の時価で所得として計算される。
受取時の時価 = 課税所得
課税区分
マイニング、ステーキング、レンディングで暗号資産を取得すると、受け取った時点の時価を基に所得が発生し、雑所得として課税対象となる。
特に、価格変動のリスクを考慮し、報酬を受け取った際の価値を正確に記録することが重要だ。
マイニングの場合は経費計上が可能なため、適切な管理を行い、税負担を抑える工夫が求められる。
暗号資産(仮想通貨)取引の所得の確定申告方法
暗号資産(仮想通貨)で利益を得た場合、確定申告が必要になることがある。
申告しないと、追徴課税や延滞税のリスクがあるため、早めに準備しよう。
【確定申告の流れ】
- 国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセス
- 「雑所得」として暗号資産の利益を入力
- 所得の種類:「雑所得(その他)」
- 収入金額 → 売却益などの年間利益
- 必要経費 → 取引手数料、送金手数料、マイニング設備費など
- 源泉徴収票(会社員の場合)と合算し、納税額を確認
- 暗号資産の利益は総合課税のため、他の所得と合算して計算
- 提出方法を選ぶ
- e-Tax(オンライン申告):電子申請でき、還付も早い
- 郵送または税務署へ持参:紙の申告書を提出
- 納税
- 期限:毎年3月15日まで
- 納税方法:銀行振込、クレジットカード、コンビニ払い、口座振替
暗号資産取引の利益は年間20万円(給与所得者)、48万円(個人事業主)を超えると確定申告が必要だ。
取引履歴を正しく管理し、所得計算・経費計上を行ったうえで、申告期限内に適切に申告しよう。
暗号資産(仮想通貨)取引の利益を確定申告しないとバレる?
近年、税務署は暗号資産取引の監視を強化しているため、未申告がバレる可能性は高い。
国税庁は2027年から暗号資産(仮想通貨)の取引情報を海外の税務当局と共有する。すでに銀行や証券の口座情報は交換する仕組みがあるが、仮想通貨にはなく、課税の抜け穴になっていた。主要コインの価格上昇などで取引が再び活況を呈する中、海外の交換業者を使った税逃れに網をかける。
日本経済新聞
国内の暗号資産取引所(コインチェック、ビットフライヤー、GMOコインなど)は税務署に取引データを報告する義務がある。
また、海外の取引所においても国際的な情報共有制度(CRS、FATCA)を利用し、海外取引所のデータを取得することが可能。
暗号資産を日本円に換金した場合、その入金履歴が銀行口座に残るため、税務署は不自然な大金の動きを把握できる。
クレジットカードや電子マネーで暗号資産を購入した履歴も同様だ。
未申告だと追加課税や税務調査のリスクがあるため、利益が出たら必ず確定申告をしよう。
暗号資産(仮想通貨)の所得について確定申告をしなかった場合のペナルティは?
暗号資産取引で得た利益を確定申告しなかった場合、税務署に発覚すると追加の税金(追徴課税)や罰則が発生する。
特に、悪質な場合は最大40%の重加算税が課されるため、適切な申告が重要だ。
男性は2016年、ビットコインを購入し、他の暗号資産にも取引を広げた。17年末には1か月弱で保有するリップルの価値が約10倍に高騰し、資産価値は4億円以上に膨れあがった。一部は現金にしたが、大半は別の暗号資産に交換した。
交換分の申告が必要とは思わず、現金化した分を除いて確定申告しなかったが、昨年9月、税務署から申告漏れの指摘を受け、過少申告加算税を含む追徴税額は2億円以上になった。
読売新聞オンライン
税務署は国内取引所のデータ提供、銀行口座の入出金履歴、海外取引所の情報共有制度(CRS・FATCA)を活用して、未申告の利益を把握できる。
そのため、「申告しなくても問題ないだろう」と考えて申告をしないのは非常に危険だ。
申告を忘れた場合、無申告加算税(15%~20%)と延滞税(最大7.3%)が発生し、税負担が大きくなる。
また、意図的に利益を隠していたと判断されると、重加算税(35%~40%)が課される可能性があり、過去3~5年(悪質な場合は7年)に遡って税務調査が入ることもある。
一方で、税務署から指摘される前に自主的に修正申告を行えば、無申告加算税が5%に軽減されることがある。
申告しなくても大丈夫だろう、と考えるのは危険。
確定申告のルールを理解し、正しく申告・納税を行うことが重要だ。
暗号資産(仮想通貨)取引の税率における注意点
暗号資産取引の税制にはFX取引や株式投資とは異なるルールが適用されるため、確定申告の際に注意が必要だ。
特に、課税方式・損益通算・経費計上のルールが違うため、正しく理解しておこう。
暗号資産(仮想通貨)の利益はFX取引の利益と異なり申告分離課税の対象外
FX取引の利益は申告分離課税(税率20.315%)が適用されるが、暗号資産の利益は総合課税の対象となる。
そのため、利益額が増えるほど税率が上がる累進課税(最大55%)が適用される。
取引 | 課税方式 | 税率 |
---|---|---|
FX取引(国内) | 申告分離課税 | 一律20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%) |
暗号資産取引 | 総合課税 | 5%~45%(住民税10%を含めると最大55%) |
暗号資産(仮想通貨)取引による利益は、雑所得として総合課税の対象となるため、FXの利益とは異なり、申告分離課税(税率一律20%)の対象外である。
そのため、暗号資産取引の税負担は、FXよりも大きくなる可能性がある。
特に利益が800万円を超えると、税率が33%以上に上昇するため注意が必要だ。
FXと同じ感覚で税金を考えていると、暗号資産取引の納税負担が想定以上に重くなる可能性があるためしっかりと違いを認識しておこう。
暗号資産(仮想通貨)取引の所得は給与所得と損益通算できない
暗号資産の所得は雑所得に分類され、FXのように「先物取引に係る雑所得等」にはならない。
そのため、給与所得や事業所得との損益通算はできず、赤字になっても他の所得と相殺できない。
法人であれば事業所得との損益通算が可能
法人が暗号資産取引を行う場合、利益は法人所得(事業所得)として扱われる。
そのため、他の事業の赤字と相殺でき、法人全体の課税所得を抑えることが可能。
また、法人は損失を最大10年間繰り越せるため、赤字が出ても将来の利益と相殺できる。
赤字が出た場合でも、法人なら最大10年間の繰越控除が可能。
年間利益が800万円を超える場合、法人化を検討することで税負担を軽減できる可能性がある。
ただし、法人設立・維持のコストや税務処理の手間が増える点には注意が必要だ。
暗号資産(仮想通貨)取引の確定申告での経費計上は可能
暗号資産取引に関する一部の費用は経費として計上できる。
たとえば、取引所の売買手数料や送金手数料、税理士報酬、マイニング機器の費用などが対象だ。
これらの費用を経費として申告することで、課税所得を減らし、納税額を抑えることが可能。
特に、法人の場合は、事業として暗号資産取引を行うことで、事業に関連する費用を幅広く経費にできる。
個人と法人では経費計上できる範囲が異なるため、申告の際には注意が必要である。
ただし、個人の場合経費計上できる項目が限られる
個人の暗号資産取引では、経費計上できる項目が制限されるため注意しよう。
- 生活費や私的な支出
- パソコンやスマホの購入費(専業トレーダー以外は不可)
- 家賃や光熱費(事業として届け出をしていない場合は不可)
- 含み損
- 未確定の損失(売却していない損失)は経費にならない
- 損失として計上できるのは、実際に売却した場合のみ
- 借入金の利息
- 仮想通貨購入のために借りた資金の利息は経費にならない
たとえば、取引手数料や税理士報酬などは経費として認められるが、パソコンの購入費や家賃・光熱費は原則として計上できない。
また、未確定の損失(含み損)は経費にならず、実際に売却して確定した損失のみが計上可能となる。
さらに、仮想通貨購入のための借入金の利息も、個人の経費としては認められない。
法人であれば、事業経費として幅広く認められるが、個人の申告では、経費計上できる範囲が狭い点に注意が必要だ。
暗号資産(仮想通貨)取引の税率に関するよくある質問
- ビットコインで500万円稼いだら税金はいくらですか?
-
扶養控除なし(基礎控除48万円のみ適用)の年収500万円の会社員がビットコンで500万円稼いだ場合、約206万円の税金が発生する。
計算の仕方総所得 = 給与所得(500万円)+ ビットコイン利益(500万円) = 1000万円
給与所得控除(134万円)と基礎控除(48万円)を引くと、課税所得は818万円所得税は累進課税のため、以下の税率で計算する。
課税所得 税率 控除額 計算式 195万円以下 5% 0円 195万円 x 5% = 9.75万円 95~330万円未満 10% 9.75万円 (330-195)x 10% = 13.5万円 330~695万円未満 20% 42.75万円 (695-330)x 20% = 73万円 695~818万円未満 23% 63.6万円 (818-695)x 23% = 28.39万円 所得税合計:9.75 + 13.5 + 73 + 28.39 = 124.64万円
住民税(10%):課税所得818万円 x 10% = 81.8万円合計の税金:124.64万円(所得税) + 81.8(住民税)= 206.44万円
- ビットコインの税率は55%ですか?
-
最大税率は55%(所得税45% + 住民税10%)になるが、全員に適用されるわけではない。ビットコインで得た利益の税率は累進課税方式のため、利益が多いほど税率が上がる。課税所得が4000万円を超えた場合、所得税45%が適用され、住民税10%を含めると合計55%になる。
- 暗号資産(仮想通貨)の税金が20パーセントになるのはいつからですか?
-
2025年2月現在、暗号資産(仮想通貨)取引による所得は総合課税の対象となり、累進課税が適用されている。しかし、2025年度の税制改正大綱において、暗号資産取引の課税方法の見直しが検討されることが明記された。この見直しが実現すれば、2026年度から申告分離課税が導入され、税率が一律20%となる可能性がある。ただし、すべての暗号資産が対象となるかは未定であり、一部の暗号資産に限定される可能性も含まれている。具体的な適用時期や対象範囲については、今後の法改正の進展を注視しよう。
- 暗号資産(仮想通貨)の税金は何パーセント?
-
暗号資産の税率は累進課税(最大55%)。所得額に応じて5%~45%の所得税 + 住民税10%がかかる。
課税所得(年間) 所得税率 住民税 合計税率 195万円以下 5% 10% 15% 195〜330万円未満 10% 10% 20% 330~695万円未満 20% 10% 30% 695~900万円未満 23% 10% 33% 900〜1800万円未満 33% 10% 43% 1800~4000万円未満 40% 10% 50% 4,000万円超 45% 10% 55% 課税所得4,000万円以上で最大55%の税率になり、利益が20万円以下なら会社員は確定申告不要(住民税の申告は必要)。
まとめ
暗号資産(仮想通貨)の税金は総合課税の対象となり、所得額に応じて最大55%の税率が適用される。
これは、暗号資産の利益が累進課税方式で計算されるため、利益が多いほど税負担が重くなることを意味する。
FXや株式とは異なり、申告分離課税(20%)は適用されないため、節税対策が重要だ。
ただし、法人化すれば事業所得として損益通算や経費計上の幅が広がる。
取引規模が大きい場合は法人化を検討するのも一つの選択肢だ。
また、2026年度以降に暗号資産の税率が一律20%(申告分離課税)に変更される可能性があるため、今後の税制改正の動向を注視しておこう。
CoinDeskJapan推奨|おすすめの国内仮想通貨取引所3選